風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

ムサシ 感想

よく晴れました。桜は葉桜になりつつあります。
「クローズZERO 2 」の初日舞台挨拶、テレビでご覧になられたでしょうか。
楽しい仲間に恵まれて、卒業証書をもらって、嬉しそうな小栗くんでしたね。
その「クローズZERO 2 」初日舞台挨拶の様子を、
11日のコメント欄に、はなここさんが、BBS No.3127 に、suzuranさんが、
書いてくださいました。ありがとうございます。読んでみてくださいね。
私好みのシーンがいっぱいで(笑)、楽しく読ませていただきました。
そしてやはり11日のコメント欄に、りー坊さんが、
BBS No.3106 に、みらいさんが、BBS No.3110に、ナチさんが、
舞台「ムサシ」の感想を書いてくださいました。
ありがとうございます。読んでみてくださいね。
やはり舞台は進化していて、美しい小次郎で、
私も小栗くんの演技が好きです(笑)。チームワークよかったですね。
ということで、「クローズZERO 2 」が公開になって、コメント欄にも、
感想をたくさんいただきましたが(ありがとうございます)、
そんな中、私もやっと「ムサシ」を観劇してまいりました(笑)。
昨日12日、マチネです。
小次郎は美しく、そしてチャーミングでした。
歌舞伎のように、お芝居の途中で拍手が入るのは、
小栗くんの出演したお芝居では初めてのことでした。
カーテンコールは、隣の藤原くんとにこっとなにやら話しているような、
サクサクッとした感じのカーテンコールでした(笑)。
あ、白いジャージを着たジョギング姿、少し見かけましたよ。
それでは、感想を書きたいと思いますが、小栗くん中心、
しかも相当ネタバレになりますので、読みたい方だけお願いします。














ムサシ             作 井上ひさし 
                  演出 蜷川幸雄 
                  宮本武蔵  藤原竜也  
                  佐々木小次郎 小栗旬


まず武蔵と小次郎が対決する場面から始まります。
倒れる小次郎。
その6年後、小さなお寺に身を寄せる武蔵のもとへ、
かろうじて一命をとりとめた小次郎が、武蔵憎しの一念で、
武蔵の場所を探し当て、現れます。
その二人の対決をどうにか止めようと、そのお寺のお坊さん、周りの人たちが、
あれやこれやの策を繰り出し〜さて、二人は対決を思いとどまることが出来るのか。
ものすごく簡単に書くと、こんな感じのあらすじなのですが、
井上さんは今、こういうことが言いたかったのか、
今はこういう心情なんだなと、実はもっと難解だと思っていたのですが、
結構、ストレートにメッセージが伝わってくる物語になっていました。
でも3時間半、あっという間でした。笑いどころが盛りだくさんで、
舞台美術はとても美しく、舞台転換のところは、幻想的とも思われるものでした。
主役、脇役という感じではなく、主要7人だったので、
藤原くん、小栗くん、杏ちゃん、辻さん、鋼太郎さん、白石さん、
そして平心役の大石継太さん、皆、素晴らしかったです。
その7人の七重奏?(笑)のような舞台でした。
はい、ここからは小栗くん中心に書きます(笑)。
まず幕が開くと、舞台半分を覆うような、
大きな大きな血の色を思わせるような赤い太陽。
小次郎の台詞によって、物語は始まります。
この小次郎の姿が、本当に、繊細な美剣士小次郎という雰囲気で、
早くも持っていかれました。
小栗くんを舞台で観るのは「カリギュラ」以来、1年5ヶ月ぶりくらいですが、
でも「カリギュラ」を観た次の日に、「ムサシ」を観たような、
小栗旬という俳優さんは、今たくさん活躍しているけれど、
舞台の小栗旬という、もうひとりの小栗旬がいるような、
ずっとそのままの美しさで、そこにいた・・・ような。
もっと言えば、初演の「お気に召すまま」のオーランドーの、
その瑞々しさ、純粋さを失わず、色褪せず、板の上に立っている感じでした。
これが彼本来の白さでしょうか、抜けるような白い肌、
青い着物に良く映えて、高い背の小顔の小次郎。
惚れ惚れするような立ち姿の美しさ。ピンと真っ直ぐな、肩、背中のライン。
顎のラインのシャープさ、細くて長い指、細い足首、細身の身体。
毎回、本当に綺麗な子だなあって思います。
そして声は、ああ、この声だという、この声が好きです。
特に、演劇の声というか、マイクを通さず伝わってくる生の声。
声の出し方も皆さんと少しも引けをとらなくなりました。いい声でした。
そしてこれが当て書きなんだと、納得する場面がたくさん出てきて、
さすが井上さんって思いました。
まず小次郎はいじられキャラです(笑)。
以前、「間違いの喜劇」のときに、小栗くん演じるアンティフォラスに、
高橋さん演じるドローミオが、どさくさにまぎれて、手の甲にキスする場面が、
あったのですが、そんな感じで(今回、キスはないですよ・笑)、
ちょっかい出したくなる小次郎という雰囲気がよく出ています。
小次郎は饒舌で、何かと食って掛かったりするのですが、
どこか可愛くて、一生懸命でつい泣いちゃって、みんなに笑われたり、
どうにか二人の対決を止めようと、白石さん演じる木屋まいが、
実は小次郎は生き別れた息子で、高貴の血を引いていて、
皇位継承第十八位と言い出し、それを聞いて、気を失ってしまったり、
その後、隙だらけの小次郎になってしまい、ビシパシ武蔵に叩かれたり(笑)。
そうそう、鋼太郎さん演じる柳生宗矩がもうとにかく自由奔放、縦横無尽で(笑)、
二人が対決しないように、二人三脚をする場面があるのですが、
結局五人六脚になってしまい、くんずほぐれつの大騒ぎも、宗矩中心で、
剣術の稽古をするときも、何故か最後には、
大勢でタンゴを踊ることになってしまい、鋼太郎さんと小栗くんがペアで、
鋼太郎さんの動きが可笑しくて、思わず小次郎さまは笑っておられました(笑)。
そんな美しく凛々しくチャーミングな小次郎。
一般的にいうと、天才型の藤原くん、努力型の小栗くんという図で、
天才肌の小次郎を小栗くんというのは、逆という感じがするのですが、
私としては、二人とも才能の上に努力をしていて、
小栗くんも、あれって思うと、もうはるか上に上ったりしていることが、
多々あり、天才的なところは、小栗くんにもあると思うんですよね。
そしてどんなに努力していても、彼は努力しました候ではなくて、
泥臭くなく軽やか。そこをきっと井上さんは気がついて、小次郎を、
書かれたのではないかなって思いました。
スタイリッシュで、繊細で、真っ直ぐで、饒舌。
ときに駄々っ子のようで、チャーミングで、なにより美剣士佐々木小次郎
剣さばき等、腰がしっかり入って美しい形でした。
いつものように上品な雰囲気が、小次郎によく合っていました。
襷掛けをするところ、旅支度をするところ、色っぽかったです。
笑いの間、センスが光りました。
野性的な武蔵と、スタイリッシュな小次郎は対比のようになっていて、
最後の最後に、二人の心が解け合う場面は、温かいものがこみ上げてきました。
藤原くんと小栗くん、武蔵と小次郎と同じように、好敵手で、
そして物語と同じように、二人の間に流れる友情、同士の思いも感じられました
杏ちゃん演じる筆屋乙女が言う、恨みの鎖を断ち切るという台詞は重かったです。
亡霊たちが語る、生きていたころの、どんなにつまらない一日、辛い一日、
悲しい一日でも、まばゆく、まぶしく見える〜心に響きました。
亡霊については、ちょっとした種あかしになってしまうのですが、
私は小次郎もまた幻だったのだろうか、と思って、違っていたんですけどね(笑)。
仏教の精神も底に流れるような、復讐をしない、恨まない、
どんなことがあっても生きていくこと、命を粗末にしないこと、
シンプルなメッセージですが、
今、あらためて、声高に言わなければいけない時代なのかなあって思いました。


まい、小次郎に目を止めて、武蔵に、


まい   おや、こちらのお方は?
武蔵  (一呼吸おいて)友人です。
乙女   ぶしつけながら、お名前は?
小次郎 (外して、武蔵に)からだをいとえ。
武蔵   (うなづいて)おぬしも達者でな。