風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

躍動する生の証のような眩しい煌めき

雨が降っています。
のんたんさんから教えていただきました(ありがとうございます)。
4月9日に逝去された、井上ひさしさんを偲ぶ特別番組として、
wowow で、4月21日(水)午後5時から、舞台「ムサシ」が放送されます。
(2009年4月8日の彩の国さいたま芸術劇場大ホールで上演された本作を放送)

【 wowow HP 】
見られる方、見てみてくださいね。
そして小栗くんの公式HPにもUPされました。
DVD「ムサシ激動の123日間の舞台裏〜蜷川幸雄と若き俳優たち〜」が、
4月21日(水)に発売されます。


【 amazon.co.jp ムサシ激動の123日間の舞台裏〜蜷川幸雄と若き俳優たち 】


これは2009年9月12日にテレビ朝日(関東地区)で放送されたものということで、
私はダビングしていただいたのですが(ありがとうございます)、
でもやっぱり注文することにしました(笑)。
もう井上さん、蜷川さん、藤原くん、小栗くんが会すことは二度とないですし、
やはり蜷川さんと一緒にいる小栗くんが好きなのと、
この小次郎に向かう小栗くんが好きなので、
というより、やはり舞台に向かう小栗くんが好きなので。
その井上ひさしさんの座右の銘を、先日NHKの夜のニュースで紹介していました。
これは以前「オールナイトニッポン」でも、小栗くんが言っていたと思います。


むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく
おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに
そしてゆかいなことは
あくまでゆかいに


そのとき、蜷川さん、哲学者の梅原猛さんの言葉も紹介していました。
蜷川さんの言葉。
「本当は煮えたぎるような怒りをちゃんと抱えていて、
 それを笑いでまぶしながら、表現の幅を笑いにまで広げながら、
 シリアスな問題を観客に渡していく。大衆芸能と芸術性を併せ持って、
 ねじれるように提出した偉大な劇作家だというふうに思っています。」
哲学者の梅原猛さんの言葉。
「井上君も大変苦労しているので、恵まれない、むしろ差別される側から、
 そういう人間を中心にして、そういう人たちが生きやすいような、
 社会をつくりたいという思いが強かったと思う。」


井上さんの座右の銘、そしてお二人の言葉を聞くと、
その作風とも相俟って、心に響きますね。
私は井上さんの作品は、それこそ「ひょっこりひょうたん島」と、
wowowで見た「表裏源内蛙合戦」、そして「ムサシ」を観ました。
「表裏源内蛙合戦」の感想はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/kurigohan/20090112
「ムサシ」の感想はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/kurigohan/20090413
http://d.hatena.ne.jp/kurigohan/20090508
http://d.hatena.ne.jp/kurigohan/20090510
今また改めて自分の感想を読んでみると、
ちゃんと伝わってきていました。


井上さんの戯曲は、挑戦的で、芸能と芸術の綱渡りのようで、
生身な感じがして、魅力的でした。( 2009-1-12 表裏源内蛙合戦感想より )
復讐をしない、恨まない、どんなことがあっても生きていくこと、
命を粗末にしないこと、シンプルなメッセージですが、
今、あらためて、声高に言わなければいけない時代なのかなあって思いました。
( 2009-4-13 ムサシ感想より )
最後まで、笑いに包まれたとても楽しい、
出演している皆さんの心持ちがとても美しい舞台だったなあと思いました。
( 2009-5-10 ムサシ感想より )


そして書きおろし新作ということで、そのとき井上さんが、今、
何を伝えたかったのだろうということは、他の演劇を観るときよりも、
よく考えていたと思います。


最後、平心さんの台詞、大石さんの声は、晴れやかに柔らかく優しく、
つつましく生きていく美しさを説いていて、少し涙が滲みました。
そしてやはり井上ひさしさんの、書き下ろし、しかもあて書きということで、
どうしても今、何を伝えたかったのだろう、彼らを見て何を感じたのだろうと、
考えてしまいます。
武蔵、小次郎は、昨日もそれは生き生きと美しく板の上を楽しんでいました。
そんな彼ら、小栗くん、藤原くんという、
若く、キラキラと、まるで躍動する生の証のような、
生というものの真っ只中にいる二人の、この眩しいような煌めきを、
それは年を重ねるものに対しては、眩しすぎるような光を、
きっと大事に大事にしたかったのではないかとそんなことを思いました。
( 2009-5-8 ムサシ感想より )


私はこのとき、そう思ったんですね。
もちろん復讐の連鎖を断ち切るという大きなテーマも感じながら、
その命の煌めきを大切にするようにという、
それからの井上さんのことを思うと、胸がいっぱいになりました。
こうやって同じ時代を生きて、新作を観ることが出来て、
本当に幸せでしたね。
それこそ舞台で輝く小栗くんは躍動する生の証のように、
眩しくて美しくて、その小栗くんと同じ時代に生きることも、
とても幸せなことだなあといつも思っているのですが、その小栗くんを介して、
いろんな偉大な方の作品に触れて、心の大きな財産だと思います。
この頃、小次郎の形良い唇を、綺麗な唇だったなあって、
よく思い出すのですが(すみません・笑)、
思えば「ひょっこりひょうたん島」も、「表裏源内蛙合戦」も音楽劇で、
俳優さんならではの音に乗せた台詞も、また違った説得力がありました。
「ムサシ」も最初音楽劇といわれていて、小栗くん、大丈夫?なんて(笑)、
皆で心配していましたが、その美しい唇から歌われる音に乗せた台詞も、
聴いてみたかったですね。