風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

美しい台詞 格好いい台詞 深い台詞

猛暑がずっと続いています。
小栗くんお薦めの映画「サマーウォーズ」、今夜金曜ロードショーで、
放送されますね。この監督のアニメ「時をかける少女」もとてもよかったので、
楽しみに観たいと思います。
さて最近までの小栗くんの怒涛の番宣番組を、
せっせと整理しつつ(小栗くん、本当にお疲れ様でした)、
嵐にしやがれ」で、何フェチという話が出ていましたが、
私は何フェチだろうと考えてみました。
まずは体型フェチ(笑)。本当に細身のときの小栗くんの体型は、
100年にひとりだと思っているんですけど(笑)。
高い背、長い手足、スレンダーで、稀にみるスタイルの良さ、
細身のときのあのライン、体型が私のときめきスイッチになっているというか、
しなやかなあの美しさに、いつもすーっと持っていかれます(笑)。
それから瞳、手、声、仕草、フェチに当てはまりそうなのは、
いろいろありますが、この頃、台詞フェチかなと思うようになりました。
特に、美しい台詞、格好いい台詞、深い台詞が好きです。
時計じかけのオレンジ」はどうでしょう。
この間、家族で話していて、もうタイトルだけで凄いよねと言っていたのですが、
時計じかけの次に、オレンジはこないよねとか(笑)。
そんな感じで、シェイクスピアカミュは、美しい台詞、格好いい台詞の宝庫でした。
時計じかけのオレンジ」は、「カリギュラ」とはまた違った、
狂気なのかなと思い、先日、「カリギュラ」をまた観ていたのですが、
ちょっとした台詞でも深かったり、違う意味を持っていたり、
あらためて凄い戯曲なんですよね。
それではまた、「カリギュラ」の台詞を書き出していこうと思います。
いつもカリギュラ中心に台詞を書き出しているので、
今回はセゾニア、ケレア等の台詞も、書いていきます。


ケレア「もし、虫の居所を悪くしてお戻りになったら?」
貴族 「いいですか、あの方はまだ子供です。
     道理をいいきかせてさしあげましょう。」


セゾニア「カリギュラは、ローマ中から見られているのよ。
      なのにあの人は、自分の考えしか目に入っていない。」


セゾニア「いうとおりにする。この年になると人生なんて、
      それほどいいもんじゃないって、わかってる。
      でもこの世に悪があるのに、わざわざそれを増やすことはないでしょう。」


セゾニア「眠らなくちゃだめよ。ぐっすり眠るの。身をまかせきって。
      なにも考えてはだめ。私があなたの眠りを見張っていてあげるわ。
      あなたが目を覚ましたとき、世界はまたもとの味を取り戻している。」


ケレア「彼は自分の権力をもっと高尚で致命的な情念のために役立てている。
     我々の心の一番深いところを脅かしている。ひとりの男が権力を、
     限りなく所有することは、今までにもあっただろう。
     だが限りなくほしいままにそれを使い、人間を世界を否定するに至る。
     こんなことは初めてだ。あの人の恐ろしいのはそこだ。」


ケレア「人は理由なくして生きることはできない。」


シピオン 「そう、そうです、そのとおりです!どうやってこれを?」
カリギュラ「わからない。たぶん君とおれが同じ真実を愛しているからだ。」
シピオン 「ああ、もうどうでもいい。僕の中でなにもかもが愛の姿になっていく。」


カリギュラ「おれの孤独は、存在に毒された孤独だ。この孤独の代わりに、
       せめて本当の孤独を、一本の木の静けさと震えを味わえたら。
       孤独!いや、シピオン。孤独は歯ぎしりでいっぱいだ。
       孤独全体が物音と失われたどよめきで鳴り響いている。」


セゾニア(礼拝の言葉)「この世に真実はないというこの世の真実を…」


カリギュラ「人は運命を理解できない。だからおれは自分を運命にしたてあげた。」


カリギュラ「同じ魂と誇り高さを持つふたりの男が、生きているうちに少なくとも一度、
       心の底から話をすることは可能だと思うか。」


カリギュラ「おまえは頭がいい。頭の良さは、高くつくか、それとも自らを否認するか、
       そのどちらかだ。俺は代償を払う。どうしておまえは否認せず、
       代償を払おうとしない。」


ケレア  「どうしてかといえば、生きたいからです。幸福でありたいからです。
       不条理をありとあらゆる結末へ推し進めるのは、
       人は生きることもできず、幸福にもなり得ません。」
カリギュラ「わかっている。ケレア。おまえは健全な男だ。
       常軌を逸したことは何一つ望もうとしない!おまえは生きていたい、
       そして幸福でありたい。単にそれだけだ!」


ケレア「あの男は考えることを強要する。みんなに無理やり考えさせる。
     安全ではないということが人を考えさせるんだ。」


エリコン「美徳の小売店を経営しているあんたたちが、
      若い娘が恋を夢見るように、安全を夢見てる。」


セゾニア「でも魂をこれっぱかりも持たない連中はみんなそうだけど、
      あんたたちは、魂のありすぎる人間に我慢できない。
      魂がありすぎる!それが厄介なのよ、そうじゃなくて。
      だからそれを人間は病気と呼ぶ。
      知ったかぶりの連中が正しいってことになって、そいつらは満足する。
      あなたは、一度でも人を愛せたことがあるの、ケレア。」


セゾニア「せめて一分間だけでいい、自分をゆだねて、
      自由に生きてみるつもりはないの。」


セゾニア「私はもう年をとったし、すぐに醜くなる。
      でもあなたを気遣っているうちに、心がこんなにひろくなったわ。」


カリギュラ「セゾニア。おまえは実に奇妙な悲劇に最後までつきあってくれた。
       今や、おまえのために、幕を下ろす時だ。」
セゾニア 「これが幸福?この恐ろしい自由が?」
カリギュラ「そうだ。セゾニア。この自由がなかったら、
       おれは満ち足りた男になっていただろう。この自由のおかげで、
       おれは神のように見通す孤独な男の眼を獲得した。
       おれは生き、おれは殺し、破壊者の狂乱した権力を行使する。
       それを前にしては、創造者の権力など猿芝居に見える。
       幸福であるとは、こういうことだ。幸福とは、これだ。
       この耐えがたい開放感、あらゆるものへの軽蔑、おれのまわりの血、
       憎しみ、自分の人生を眼下に支配している男の比類なき孤立、
       罰を受けない暗殺者の常軌を逸した悦び、
       人間の命を砕く情け容赦のないこの論理、
       おまえの命を砕く論理でもある、セゾニア。
       そしてついに、欲しくてたまらない永遠の孤独を完成させるんだ!」
セゾニア 「カイユス。」
カリギュラ「優しさはごめんだ。けりをつけなくてはならない。
       もう時間がない、愛しいセゾニア!」


カリギュラカリギュラ!おまえも、おまえも罪がある!そうだろう、
       人より多いか、少ないか。それだけの違いだ。
       だが、裁判官のいないこの世で、誰があえておれを裁く?
       誰もかれもが罪人の世界で。・・・おまえはよく分かっている、
       エリコンは来てない。おれには月が手に入らない。苦しい。
       本当であること、終りまで行かなければならないということ。
       苦しいのは、終わるのが、完成するのが怖いからだ。」


カリギュラ「おれは心の静まるあの大きな空虚を、もう一度見つけるんだ。
       なにもかも複雑に見える。だが、なにもかも単純だ。
       もしおれが月を手に入れていたら、もし愛だけで充分だったら、
       すべては変わっているだろう。この渇きをどこで癒せばいい。
       どんな心、どんな神が、湖の深さをたたえているのか?」


カリギュラ「エリコン!エリコン!何もない!まだ何もない。
       夜が重い。エリコンはもう来ない。おれたちは永遠に罪人だ。
       夜は人間の苦悩のように重い。」
エリコン 「用心してください、カイユス!用心して・・・」
カリギュラ「歴史の中に入るんだ、カリギュラ!歴史の中に!」


カリギュラ「おれはまだ生きている!」


カリギュラ」はこうやって少し書きだしただけでも、すごく濃密なんですよね。
降り注ぐような美しく知的で格好いい台詞の数々に陶酔しました。
時計じかけのオレンジ」はどんな台詞に酔えるでしょう。それも楽しみです。