風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

少年H 感想

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8月10日に「少年H」が公開されました。記事が出ています。
【 水谷豊演じる“お父ちゃん”を原作者・妹尾河童が絶賛 】
映画『少年H』が8月10日(土)に公開を迎え、主演の水谷豊を始め伊藤蘭、子役の吉岡竜輝くん、花田優里音ちゃんの“妹尾一家”に降旗康男監督が都内劇場で行われた舞台挨拶に登壇。原作者の妹尾河童も客席から登壇し、水谷さん、蘭さんらを絶賛した。
河童さんの自叙伝とも言える同名ベストセラーを『あなたへ』『鉄道員(ぽっぽや)』で知られる降旗監督が映画化。戦中、戦後にかけての神戸を舞台にユニークで優しい両親と少年H、その妹の4人一家の姿を描き出す。
吉岡くんは「これで水谷さんたちとご一緒することも少なくなるかと思うと寂しい」とポツリ。撮影時は小学生で、現在は中学校に上がったが、周りの反応を尋ねると「『お前、小栗旬と出てるのやろ?』って言われます」と語り笑いを誘う。優里音ちゃんも「女の子からは『小栗旬に会ったん? お話ししたん?』って言われますが、男の子には『原田泰造に会ったん?』って言われます(笑)」と微妙な違いを明かし、これには観客のみならず水谷さん、蘭さんも大笑いだった。


吉岡くんのお話が可笑しくて、微笑ましいなあと思いました。
その「少年H」観てきました。
小栗くんは出番はほんの少しですが、印象的な役でした。
でもやっぱりもう少し出てほしかったかなあ(笑)、
その役、よく似合っていたと思います。
では「少年H」の感想を書きたいと思いますので、
ネタばれを含みますので、読みたい方だけお願いします。
そしてコメント欄に感想を書かれる場合、
このコメント欄は隠すことができないので、ネタばれはなしでお願いします。







少年H


戦争を扱った映画、ドラマ等々ありますが、
子供の目線で描かれているものは少ないかなと思う中、
本当に子供の目線で、だからとても正直に矛盾を突いてくるし、
大人の建前も透けて見えるし、こんな小さな子でさえわかることが、
当時の上層部は何故わからなかったのだろうと、
戦争は愚かだなあと、改めて思いました。
だからこそそのさなか、
冷静な正しい考え、家族への思いやり、その父親の大きさ、温かさ、強さが、
じわじわと伝わってくる映画でした。
父親役の水谷さんは本当に仕立て屋さんという感じで、
洋服屋さんのメジャーの持ち方から生地の扱い方、
仕事を愛を持ってこなす姿が良く馴染んでいて、
仕事柄外国の方と触れることが多かったというのもあるかもしれませんが、
まわりが一斉に戦争に向かっていった中、柔軟な考えを持って、
それを息子に伝えていく姿がとても感動的でした。
妻役の蘭さんは、熱心なクリスチャンなのですが、
ちょっと変わった?お母さんで(笑)、
その少しユーモラスな感じがよく出ていたと思います。
そして少年H 役の吉田くんは本当に素晴らしかったです。
ひと言多い(笑)という役でしたが、
なんというか、子供ゆえに真実を問いてくるというか、
正義感が強いのですが、好奇心旺盛で、
逞しいところも強いところもそして素直なところもあって、
でもいい子いい子していないので、かえって同調できて、
本当にH くんの思いをなぞって、戦争を体験していくようでした。
妹役の女の子もその当時の女の子の感じがよく出ていて、
とても愛らしかったです。


そしてうどん屋の兄ちゃん、小栗くん。
最初に「風の中の羽根のように〜」という鼻歌を歌いながら、
自転車に乗って、出前に出かける様子で現れるのですが、
なんだか鼻歌なのにとてもいい声で素敵なんですよ(笑)。
最初、うどん屋の兄ちゃん役と聞いたとき、
ただのうどん屋の兄ちゃんのわけはないので、
時代背景的にこういう系統(思想犯)の役だろうなあと思ったら、
そのとおりで、インタビューにもしっかり書かれていましたね。
でもこういう一途な役(どういう方向でも)はよく似合っていました。
ちょっと毛色の違う感じを匂わせるのも上手くて、
H くんが興味を惹かれるのもわかる気がします。
H くんにレコードを聴かせるところ、よかったですよね。
煙草を指にはさみ、コーヒーをいれて、
あの当時のインテリ層の少しハイカラな雰囲気もあって、
曲は藤原義江さん(男性のティナー歌手)の、
ヴェルディの「リゴレット」より、「女ごころの唄」。
最初に口ずさんでいた歌ですね。
「風の中の 羽根のように いつも変わる 女ごころ」
そうか、オペラかと思って、
オペラの舞台監督をされている小栗くんのお父様もお喜びかなあと、
変なところで思ってみたり(笑)。
そうそう、お父様といえば、H くんの洋服屋のお父さん、
ドイツ人、フランス人等、いろんな外国人の洋服を作るため、
仮縫いに行ったりするのですが、よどみなく交流していて、
それが外国語ができるわけではなく、人と人との心の交流だから、
ちゃんと通じるというくだりがあって、
そういえば、小栗くんのお父様も海外のお仕事のとき、
外国語はできないのに、なんか通じちゃうんですよと、
小栗くんが言っていたときがあって、やっぱり人を大切にしているんですよね。
そこでも小栗くんのお父様をちょっと思い出したりしました(笑)。
そして小栗くんは【 完成披露試写会 】の言葉にもあるように、
“子供の頃からの夢で、
「いつか瓦屋根の上を走ってみたいな」と思っていたことを、
この映画で実現できて本当にすごく嬉しく思っています(笑)。”
瓦屋根を走って逃げていくシーンもよかったですよね。
欲をいえば、捕まった後、取り調べのシーンとか、
さすがに拷問は見ていられないので、
その後、傷ついて乱れたうどん屋の兄ちゃんも、
ちょっと見たかった気もします(笑)。
最後、H くんがフェニックスの絵を描くときに、口ずさんでいた、
「女ごころの唄」(兄ちゃんのこと忘れずにいてくれたんだと思いました)。
こちらで、その藤原義江さんの声で試聴できます。


【 女ごころの唄 藤原義江 】


とにかく丁寧に作られていて、映像も素晴らしかったですし、
そしてあの当時、こういうお父さん、お母さん、そしてH くんと妹、
そういう家族がいたことを知ることができて、本当によかったなあと思いました。
良質な映画でした。