風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

愛しく美しく儚いポッツィ

よく晴れました。
さてワールドシリーズ、日本時間の今日、ボストンのフェンウェイ・パークで、
第6戦を行い、3勝2敗で優勝に王手をかけていたレッドソックスア・リーグ)が、
6−1でカージナルスナ・リーグ)を下して、6年ぶり8度目の世界一に輝きました。
田沢投手は好救援、抑えの上原投手は九回を3者凡退で締め、
歓喜の瞬間をマウンド上で迎えました。おめでとうございます!
本当に素晴らしいですね。
上原投手は人柄も明るくて、先日の息子さんのインタビューも、
しっかり英語で答えていて、とても可愛かったです。
私はこの頃どちらかに肩入れして応援する場合、
あまりにもドキドキしてリアルタイムで見ることができず、
フィギュアスケートもネットで結果を確認してから見る始末で(笑)、
だからこの様子もまだちゃんと見ていないのですが、
またしっかり見たいと思います。
ボストンといえば、長い間ボストン交響楽団音楽監督を務めた小沢征爾さんも、
ボストンレッドソックスの大ファンだそうで、
先日上原投手とも会われていましたが、さぞ喜ばれていることと思います。
本当におめでとうございました!


そんな今日 10月31日、2005年の10月31日は、
舞台「偶然の音楽」が初日を迎えた日でした。
公開舞台稽古の写真はまだ見られます。
【 偶然の音楽 公開舞台稽古 】
ある日ジム・ナッシュに、行方知れずだった父親からの遺産が転がり込んだ。彼は職や家などを手放し、遺産で買った新車の赤いサーブで放浪の旅へ出る。途中、謎の若者ジャック・ポッツィと出会ったジム。ジャックはギャンブラーで、数日後に大富豪のフラワー&ストーンとのポーカーゲームを控えているという。それを聞いたジムは、ジャックの出資者に名乗り出るのだが……。
三方を囲まれる形で、客席に迫り出した舞台は、奥行きを感じさせる。石畳のようなステージ面を縦横にキャストが動き回り、時間の経過や空間、人と人との交わりを表現。具体的なセットは登場しないが、照明や小道具、衣裳などが象徴的に使用され、観客の想像をかきたてながらも、物語を効果的に表現していた。


この写真からもわかりますが、照明が綺麗で、
とてもスタイリッシュで、幻想的な不思議な舞台でした。
思えば小栗くん、世田谷パブリックシアターはこの舞台だけでしたね。
そして仲村さんは、その当時、いろいろな記事、インタビューで、
このようなことを言ってくださいました。


“「偶然の音楽」でナッシュ役をどうかと、言われていたときに、
すでにポッツィ役は小栗旬くんという俳優さんに決まっていますと、聞いていて、
救命病棟24時」での顔合わせで、小栗くんを見て、
「いいな、やろうかな!」って思いました。”


嬉しいですよね。稽古中にはこんなエピソードも。
小栗くんは当時、台本に書き込みは絶対しない(今もかな?)、
ペンを持ちたくないから頭に入れるということで、
でも仲村トオルさんがみかねて、綺麗な字で書き込んでくれたそうです(笑)。
その綺麗な字とその様子が目に浮かぶようで、
微笑ましいなあ可愛いなあといつも思います。


仲村さんのインタビューでの小栗くんについてのこの言葉もよく思い出します。
仲村「彼には若さゆえの“いくつかの事柄”がある。
    まだそんなもの信じてるのか、バカだなあと思う反面、
    でも信じられることを羨ましく思う部分もあるし、
    新鮮さ、若さ、信じているものが多い奴と、
    バランスよく舞台に立たなきゃならないのは、良いプレッシャーになりました」


“まだそんなもの信じてるのか、バカだなあ”〜この言葉が、
愛があってとても好きでした。
「偶然の音楽」、劇評には、
「登場人物の中でただひとり、
 口から出る言葉と考えの間に隔たりのない素直なジャックを、
 小栗が跳ねるような生命力で演じたことで、
 その最期が余計に切なかった。」と書かれていて、本当にそのとおりの、
生き生きとしたでも、儚く切ない小栗くんのジャック・ポッツィでした。
私が観劇後、書いた感想を少し書きますね。


はじまりは降り注ぐピアノの音
石畳のような冷たい床
モノトーンの照明の中、ナッシュが語る過去
人影が淡々と通り過ぎ、時間も通り過ぎる
転がりこんできたポッツィ
自信満々に、煙草の煙をくゆらせながら、カードをきる手
文句をいいながらも、ひとなつっこく、いたずらっぽい笑顔
縋りつくように、訴えかけるその瞳
ときには新しいおもちゃを与えられた子供のように
嬉々として娼婦と戯れる、そして美しい背中
傷ついて、ボロボロになって、担ぎ上げられる長い足
単純で、短絡的で、饒舌で、お調子者で、
わめいて、さげすんで、絶望して・・・
でもその高い背のポッツィは、とてもとても可愛くて愛しい
失いたくないものの全てのように
心に刻まれました。


カーテンコール一度目は、皆と揃ってお辞儀をするいつもの小栗くん、
二度目は清々しいほどの笑顔が、優しくて、可愛い小栗くん、
そして三度目は、舞台の袖に入る間際まで、バンザイをするように、
大きく手を振る、やっぱり可愛い可愛い小栗くんでした。


この舞台はドラマ「花より男子1」と重なっていて、
私が観たのは前楽だったので、今思うとあと千秋楽を残すだけという感じで、
バンザイをするように大きく手を振っていたのかなあと思いました。
自信たっぷりで、奔放で、軽やかで、皮肉屋さんで、
でもとても傷つきやすくて、そしてどこか愛らしい。
愛しく美しく儚い小栗ポッツィでした。