風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

罪の声 感想(ネタバレあり)

よく晴れました。

昨日映画「罪の声」を観てきました!

本当にとてもよい映画でした。2時間20分があっという間で、

エンドロールの前あたりからずっと泣いていて、

涙でマスクが濡れたので、予備のマスクで帰ってきました。

まず私はあの事件のリアルタイム世代なので、事件で子供の声が使われた衝撃を、

今でも覚えています。

その子供たちがのちにこんな人生を送っていたんだということが、

本当にあったことのように、鋭い説得力を持って描かれていました。

犯罪を犯した罪、犯罪に子供を巻き込んだ罪、煽った報道をした罪、

子供の未来を奪った罪、幸せになってしまった罪さえも、いろんな罪が描かれていて、

だんだん胸が苦しくなってきました。

でもそれらを阿久津と曽根が、少しずつ少しずつ救っていくような物語にも、

見えたんですよね。その温かさに涙が流れたのかもしれません。

彼らが打ち解ける橋のシーン、よかったですよね。

小栗くんが演じた阿久津は語り部という役割ながら、ちゃんと存在感があって、

ある種、柔らかさ、優しさ、ちゃんと揺れる心がとてもいいなあと思いました。

こんな風に映画に存在する小栗くんを初めて観た気がします。

小栗くんもですが、とにかくキャスティングがこれ以上ないくらい、

ぴったりの役者さんたちで、星野さんは本当に実直なテーラーに見えたし、

登場人物が全て、その人生を背負っている感じが一目でわかるような、

雰囲気を纏っていて、凄かったです。

特に聡一郎、最初の登場シーンを見ただけで、35年の壮絶さが迫ってきて、

衝撃でした。

それぞれの思い、それは犯人側でさえも、無念さ、一泡吹かせたい、

それはわかるのだけれど、イギリスの美しいヨークの街を、

後ろめたい思いを隠すように早足で歩く達雄に、

追いつくように、寄り添うように、しかし諌めるように歩く阿久津は、

真実の正義を胸に秘め、頼もしく思えました。

ゴゴスマの石井アナが、小栗くんのことを、

新聞記者の役でおしゃれな服を着ているわけではないけれど、

普通のトレンチコートを着てても格好よく見えると言っていて、

星野さんが、「イギリスのシーンもそれが映える」と言っていましたが、

やはり英国の風景にとてもよく映える人だなあと思いました。

たくさんのバラエティ番組(どれも楽しそうで可愛かった)に出てくれて、

映画を宣伝してくれましたが、力を入れて宣伝したくなる映画だということが、

とてもよくわかりました。

質の高い良い映画を観たなあという満足感に今、溢れています。

ではここからはしっかりネタバレなので、読みたい方だけお願いします。

 

 

 

阿久津と達雄のシーンと曽根と母親のシーンが、交互に映されていたとき、

達雄、母親、二人ともがそのときの感情を「奮い立った」と表現していることが、

印象に残りました。それは復讐にギアを入れる一言、

彼らの歪んだ正義に火をつける一言で、なんとも言えない気持ちになりました。

でもそれは犯罪に手を染めること、まわりの人々を罪に巻き込むことなんですよね。

それから聡一郎が母親と対面できたとき、望の声が聞きたいという、

(望のシーンは切実な前向きさがより悲しかった。)

そこであの忌まわしいテープの声を聞かせることになるシーンに驚きました。

二人でその望の声を聞きながら、喜んでいるシーンを見て、

これは、皮肉にもととらえるか、でも昇華したとも考えられるなあと、

ただただ聡一郎もお母さんもこれから穏やかに幸せに暮らしてほしいです。

そして曽根の職業がテーラーということが、これもひとつのクッション材というか、

いろんなシーンで穏やかな空気が流れていて、よかったです。

3割引にして情報をとってくるシーンとか(笑)、

記者会見する聡一郎にスーツを仕立ててあげるシーン、

そして最後、社会部に戻った阿久津にスーツを仕立てようとするシーン、

素敵なブリティッシュスーツを身に纏った阿久津も見てみたかった気もします。

とても丁寧に作られた重厚な社会派作品でした。

たくさんの方々に観てほしい映画だと思いました。