風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

大河ドラマ 鎌倉殿の13人 第32回

よく晴れました。

「鎌倉殿の13人」第32回を観ました。

私はいつもこの感想を書くまでに、「鎌倉殿の13人」を3回観るのですが、

まずBS でいわゆる早鎌倉、それから8時からの本鎌倉、

そして感想を書く前にもう一度観ます。

大体一番ドカーンと打ちのめされるのは、初めて観る早鎌倉で、

本鎌倉でちょっと落ち着いて観て、でも今回は感想を書くために今日観た、

「鎌倉殿の13人」が一番泣きそうになりました。

今回も重くて悲しい回でしたよね。

頼家、比奈、善児、仁田殿、皆可哀想で気持ちを持っていかれました。

仁田殿はあのとき、小四郎が相談に乗っていたらとか、

生真面目で真っ直ぐないい人故に可哀想な最期でした。

それから善児、まさかこんな展開になるなんて。

年をとったことが、トウを育てたことが、それとも本当に、

ただ単に「わしを好いてくれている」ことが躊躇させたのでしょうか。

トウが一幡を水遊びに連れて行ってしまいました。善児の涙が辛かった。

その後、暗い廊下を思い詰めたように歩く義時。

まるで深淵のような深緑の着物ときっちりとした襟合わせ、

揺れる袖は暗闇の微かな光に反射します。

その非情な姿はこの上ない恐ろしさと共に、

小栗くん特有の品の良さと切なさが加わって、

悲しみに覆われている様子、複雑さ、深さ、

そして暗い美しさも充分伝わってきました。

比奈との別れのシーンも切なかったですね。

 

比奈「ですから決めました。私からお願いいたします。

   ・・・どうか離縁してください」

(座って頭を下げる比奈)

義時「比奈・・・」

比奈「本当は小四郎殿の許しなんていらないのです。

   でもこうしてお話しするのはせっかくだから。

   せっかくだからって言い方もおかしいですけど」

義時「すまない」

比奈(溢れる涙を止められず)「はあ、もうやだ。

   泣くつもりはなかったのに。いけませんね」

(立ち上がり後ろを向く比奈)

(比奈にカツカツと駆け寄り後ろから抱き締める義時)

比奈(目を瞑り)「あのときと同じ。富士の巻き狩り。

   猪に追いかけられて、小四郎殿は抱きしめてくださった」

(頷く義時)

比奈「同じ温もりなのに、おかしなものですね。

   あのときと何も変わらないのに」

(義時の腕を解く比奈)

比奈「けじめ、けじめ。お出掛けでしたよね。ここで失礼します」

(優しい目で比奈を見る義時)

義時「いってくる」

比奈「いってらっしゃいませ!」

(その声に少し立ち止まる義時。振り返らず去っていく)

 

比奈は本当に義時が好きだったのだなあと思いました。

比奈の髪に顔を寄せる義時。チェロの優しい旋律。

義時のふと比奈を見る優しい眼差しは以前の義時が戻ってきたようで、

胸が熱くなりました。

比奈の涙と笑顔の「いってらっしゃいませ!」がとても心に響きました。

比奈ちゃん、可愛らしくて明るくて芯が強くてとても素敵な義時の妻でしたね。

さて今後も色々大変そうですが、

毎回、映像と音楽とそして演者の方々の素晴らしい演技と、

まるで一本の映画を観ているような充実ぶりなので、

来週もとても楽しみにしています。