風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

大河ドラマ 鎌倉殿の13人 第44回

雨が降ったり止んだりしていた一日でした。

まずフィギュアスケートグランプリシリーズNHK杯

宇野選手、優勝おめでとうございます。

フリーのG線上のアリア〜メアトルメンタプロペラーテがとても美しく、

エレガントで、そして相変わらずランビエールコーチもとても麗しく、

宇野選手をお姫様抱っこのような胴上げもしてくれて、微笑ましく見ていました。

それから競馬のマイルチャンピオンシップ白毛のソダシちゃん、

3着、頑張りました。でも黒い馬たちと一緒に走ると、

まさにペガサスが翼をたたんで、地上で走っているような、

本当に白馬のその真っ白な美しさに惚れ惚れしました。

 

そんな美しさに負けず劣らずの漆黒の美しさ、凄みと諦観と悲しみを湛えた、

小四郎義時の修羅の美しさにも心を持っていかれました。

「鎌倉殿の13人」第44回を観ました。

凄い回でした。胸が苦しくなったり、何度も涙が出そうになりました。

まず実朝の決定的なこの言葉。

 

実朝「それより小四郎。よい機会だ。お前に伝えたいことがある」

義時「なんでございましょう」

実朝「いずれ私は京へ行こうと思う」

義時「京へ?」

仲章「右大臣となれば本来上皇様のお側にお仕えすべきもの」

実朝「ゆくゆくは御所を西に移すつもりだ」

義時「お待ちください」

仲章「内裏に近い方が何かと都合がよいのだ」

実朝「六波羅にしようと思う」

義時「頼朝様がお造りになったこの鎌倉を捨てると申されるのですか」

仲章「はっきり言ってここは験が悪い」

義時「鎌倉殿にお訊きしている!」

実朝「そういうことになるが、まだ先の話だ」

 

これはもう実朝、何も何もわかっていない。

義時が一番大事にしてきたことなのに、今回はさすがに義時のその後の行動も、

擁護したくなります。

大江殿には「私が望んだ鎌倉は頼朝様が亡くなった時に終ったのだ」という、

悲しい言葉を言ったりしていた義時。

とうとう覚悟が決まります。

 

義時「五郎」

時房「はい」

義時「お前だけには伝えておく。ここからは修羅の道だ。

   付き合ってくれるな」

時房「もちろんです」

義時「源仲章には死んでもらう」

時房「鎌倉殿にはどうご説明を?」

義時「公暁がその鎌倉殿を狙っておる。おそらく今夜。

   拝賀式の最中」

時房「すぐに公暁を取り押さえましょう」

義時「余計なことをするな。

   ・・・もはや愛想が尽きた。

   ふふ、あのお方は鎌倉を捨て、武家の都を別のところへ移そうと考えておられる。

   そんなお人に鎌倉殿を続けさせるわけにはいかぬ。・・・断じて」

 

黒い装束の後ろ姿がまるで真っ黒なマントを引き摺るようで、

仏像に背を向けて語り出す義時。

覚悟を決めているその横顔は、静けささえ漂う瞳、

悲しみは深すぎて、諦観しているようにさえ感じる表情でした。

でも時房に話せてよかった。時房はずっとそばにいてください。

さらに政子にも語ります。

 

義時「私たちは自分のしてきたことを背負って生きるしかないのです」

政子「私たち?決めてきたのはあなたでしょ」

義時「正しいと思った道を選んでここまでやってきた。

   そうではないのですか?

   今更誰に何を言われようと怯んではなりませぬ。

   私たちは正しかった。・・・いつだって」

 

この後、儚げなピアノの旋律が響きます。

正しかった、正しかった・・・自分に言い聞かせるように言う義時が、

本当に辛い。胸が張り裂けそうでした。

姉上、あなたの前にいる弟をあなたが引き留めたのはないのですか。

間違いなく「私たち」ですよ。

もう来週はとうとうですよね。後4回。

小四郎義時の行く末を心して見守りたいと思っています。