風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

大河ドラマ 鎌倉殿の13人 第45回

よく晴れた一日でした。

まず先週「鎌倉殿の13人」第44回の紀行で紹介された、

鎌倉市覚園寺ですが、HP に載っていた手書きの文章にとても感動しました。

覚園寺HP

https://kamakura894do.com

覚園寺は今も昔も修羅の道を歩む方の味方です」

歴史上の人物を演じるということは、こういうこともあるんですね。

史実は変わらないけれど、そこに至るまでのその人の苦悩とか悲しみに、

光を当てることができるのは、こういう大河ドラマならではなので、

「思わぬ花が咲きました」〜と言っていただいて、嬉しいなあと思いました。

さあ、その修羅の道を歩み出した義時。

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第45回を観ました。

今回も重くて暗く悲しい回でした。

暗殺された実朝も可哀想でしたが、公暁が哀れでした。

政子のところへ会いに行った公暁

 

公暁「知らしめたかったのかもしれません。

   源頼朝を祖父に持ち、源頼家を父に持った私の名を。

   公暁。結局、私には武士の名はありませんでした」

 

自分の生に誇りを持っていたゆえに、それが彼を縛ってしまったのかなと思いました。

「武士の名」というところが悲しいですよね。

でも三浦のことは話さなかった公暁

その三浦義村ですが、義時と話しあった時。

 

義時「私が狙われたことは?

   公暁が私を殺そうとしていたことは?

   知っていたのか。

   私に・・・死んでほしかったのではないのか」

義村「公暁がお前も殺そうとしていると知ったら、

   俺はその場であいつを殺していたよ」

(襟を触る義村)

 

「私に・・・死んでほしかったのではないか」のときの、

義時の声は震えていて、彼の中の小四郎が少し顔を出していて、

ただただ盟友に縋りたかったように聞こえたのですが、

最後の襟を触る義村を見て、ひとつ糸が切れたのかもしれません。

どんどん孤独になっていく義時。

政子との会話。

 

義時「姉上にはとことん付き合ってもらいます」

政子「放っておいて」

義時「鎌倉の闇を忌み嫌うのは結構。

   しかし姉上は今まで何をされた?お答えになってください。

   闇を断つために貴方は何をされた。

   頼朝様から学んだのは私だけではない。

   我らは一心同体。これまでもそしてこの先も」

 

そうです。元々は姉上がこの弟を引き留めたんですから。

弟にだけ散々苦しませて黒く蝕まれていくのを気付かぬふりをするのは、

卑怯ですよ。本当に本当に孤独になってしまった弟に寄り添ってほしいです。

その後の運慶との会話も凄いものでした。

もう振り切ってしまったのでしょうか、義時。

でも迷っているときはいい顔というのもわかりますが、

迷っているときは本人は苦しいですよね。

どちらかに振り切ってしまった方が楽です。

だから小栗くんがインタビューの中で言っていましたが、

唯一彼を救っていた私利私欲がない点は、頼朝さえ到達できなかったところへ、

行きたいという強欲が彼を覆ってしまいました。

それは我が子泰時に父に抵抗すると言われ、少し嬉しそうな義時の、

上を目指しているようで、未来がないような義時の、

すでに実は誰かに殺されたいと思っている義時の、

深く重く複雑な感情が入り乱れるような、

恐ろしくも凄みのあるそして美しい義時でした。

小栗くんの演技の迫力が素晴らしい。

しかもなぜか彼の演技にはいつもどこか切なさがあるので、目が離せないのです。

私だけは義時の味方です(みんな、思ってる・笑)。

最後に向かって、どうか義時、幸せになってほしいなんて甘っちょろい言葉は、

無惨に散っています。

後3回、彼の行く末を心して見届けたいと思っています。