雨が降ったり止んだりしています。
公開日に観に行ってきた「バッド・ルーテナント:トウキョウ」の、
感想を書こうと思っているのですが、その前に、
三池監督の興味深いインタビューがありましたので、
紹介しますね。
『バッド・ルーテナント:トウキョウ』三池崇史監督が語る、映画を面白くする“臨場感”と自由 (1/3) - SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)
小栗くんと組んだことについて。
三池崇史監督 : 我々が彼に新しい選択肢や希望を与えるタイミングに来たのかなという思いはありましたね。大河ドラマなど、何を見ても、彼は周りを圧倒してしまうようなポジションにいます。それは本人の努力はもちろん、彼の人間性というか、周りのいろんな人に声をかけて仲間を作ってきた結果なわけで、そういったことが圧倒的な芝居に現れてくる。そういう中で、この先どこに行くのか。
彼もまだやっていない役や、立っていないフィールドがたくさんあります。そこには、蜷川幸雄さんが亡くなってしまったことで、彼にとっての大きな表現の場所が一つ明確に減ってしまったという背景もありますよね。でも、我々が作る映画の中なら、小栗さんがまだまだ暴れられる場所が残っているんじゃないか。それを示せればいいなというのが、小栗さんに対する一番の思いではありました。もちろん、こちらのほうも彼の力を借りるわけですけれどね。
それに、ある意味で彼は“小栗旬”としての「佳境」に入っていると思うんですよね。普通はここまで大きなスターになってしまったら、あとは大御所として落ち着いていくのでしょうけれど、彼はそういうタイプじゃない。だからこそ、いつまでも第一線で戦える場所を提供したいなというふうに思っています。
『バッド・ルーテナント:トウキョウ』三池崇史監督 撮りたいのではない、撮って何が起こるかを見たい【Director’s Interview Vol.596】|CINEMORE(シネモア)
今回非常に心地よかったのは、小栗旬の存在そのものでした。『クローズZERO』(07)で出会い、その後ゲスト的に出演してもらった作品はいくつかありましたが、本格的に仕事をするのは『クローズZEROⅡ』以来です。ずいぶん時間が経ちましたね。当時と今とでは全く違った魅力が彼にはある。その彼が、歌舞伎町を舞台にして、どうしようもない奴らばかりの中にいる。まさに僕のフィールドにいるわけです。そういった安心感があったからこそ、リリー・ジェームズなど色々な人たちを招き入れる余裕が生まれたのかなと。
三池監督の思いが本当に本当に嬉しいなあと思って読みました。
では「バッド・ルーテナント:トウキョウ」の感想を書きたいと思います。
ネタバレを含みますので、読みたい方だけお願いします。
バッド・ルーテナント:トウキョウ 三池崇史監督作品
矢吹恭二 小栗旬
グエン リリー・ジェームズ
クズのような刑事が紙屑のように散っていく物語。
でも矢吹の愛が優しさが底辺に流れていて、
それが泥水の中で煌めく小さな小さな宝石のように、
見つかるたびにその美しさに胸が痛みました。
矢吹の佇まいは気怠くてあがいていて弱くて、
大人で色っぽくてやけっぱちで必死で、でも美しかった。
小栗くんには珍しくキスシーンもベッドシーンも、
しっかりありましたが、特にグエンとの激しいシーンは、
お互いの秘めたる思いがぶつかり合うような、
その激しさに相反するように美しく切なかったです。
私は実写版「シンデレラ」が好きだったので、
そのリリー・ジェームズとまさかこういう共演の仕方をするなんて、
凄く感慨深かったです。
そうそうやはり洋画扱いというか、
オープニングの最初に「SHUN OGURI」と出てきたときは、
感動しました。洋画って最初に主役の名前が出てきますよね。
嬉しかったです。
小栗くん、英語は流暢で、刑事として、優秀なところが、
見え隠れするところも素敵でした。
アクションシーンも凄く格好よかったです。
実は優しい矢吹。
石塚とその彼女を希望どおりに逃してやる矢吹、
(しかも子供たちを押し付けられる)
(預かったお金は半分どころか少し自分の分にしただけ)
影山が貯めた缶に無造作に入ったお金を結局使わなかった矢吹、
(あんなに借金まみれなのに)
そしてリリーとの間には愛はあったのでしょうか。
自分の危険も省みず、結局ミーガンを渡してしまう矢吹。
いつも相手のことを考えているんですよね。
悪ぶってもちゃんと愛があるんですよね。
最後の最後で殺されてしまった矢吹。
その矢吹の顔は映されることもなく、俯瞰した映像で、
小さな小さな矢吹の体、、、そしてエンドロール。
小さな小さな紙屑のようで、余計に切なっかったです。
でもこの最後の映像は三池監督のこだわりのような気がします。
世の中から外れてしまった人たち、底辺で必死に生きる人たち、
その小ささをきっと愛しいと思っている、
三池さんのいわゆる底辺の人たちへの目線が優しいなあと思いました。
小栗くんとしては今までにない役で、なかなかのシーンもありましたが(笑)、
こういう役を用意してくれて、三池監督ありがとうと思います。
インタビューにあるように、
「蜷川幸雄さんが亡くなってしまったことで、彼にとっての大きな表現の場所が一つ明確に減ってしまったという背景もありますよね。でも、我々が作る映画の中なら、小栗さんがまだまだ暴れられる場所が残っているんじゃないか。それを示せればいいなというのが、小栗さんに対する一番の思いではありました。もちろん、こちらのほうも彼の力を借りるわけですけれどね。」
その思いは充分伝わる映画だったと思います。
矢吹恭二、とてもとても愛しい人でした。