風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

wowow カリギュラ 

冷たい雨が降っています。
keiちさんから教えていただきました(ありがとうございます)。
産経新聞に、「カリギュラ」のことが書かれています。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080106/tnr0801061259005-n1.htm
wowowで、放送されるにあたって、書かれたものですね。
そして若村さんのブログhttp://syunca.at.webry.info/
横田さんのブログhttp://yokotaei.blog29.fc2.com/にも、
wowowでの放送にあたって、書かれています。
そのwowowで放送された「カリギュラ」観ました。
カメラワーク、よかったですよね。
天井からのものもあり、その舞台全体の構図的な美しさもよく捉えていて、
鏡に映る方をわざと映したり、残像が残るように、次のシーンへ切り替えていったり、
とにかく細かい表情もよく観ることができ、いろいろとまた思うところがありました。
あのように観ると、本当に、あの鏡の角度まで計算されているような、
そこに映るカリギュラひとりひとりさえ、絵になっているような、
衣装の色とあわせて、今更ながらに、美しい舞台だなあって思いました。
そして何回観ても、惹きこまれ圧倒されてしまいます。
やはりカミュは、カリギュラへ自分の思いを投影しているのだろうかと、
昨日は思いました。
安っぽい幸せにすぐ縋り付くなと言っているような、
もっとそのものの真実を、目をそらさず見るんだと言っているような、
でも実は、その安っぽい幸せの中に、本当の幸せがあるということ。
しかしやはり私たちは、カリギュラというまわり道をして、
そこにたどり着くべきだということ。
ケレア「われわれの心のいちばん深いところを脅かしている。」
小栗くんは、こうやって細かい表情を見ても、
爪の先までカリギュラだったなあって思いました。美しいカリギュラでした。
その汗も涙も、濡れた髪、鋭い目線、哀しい瞳、怯える目、
優しく、ときには恐ろしさをこめて、さまざまの人たちを抱きしめた、
ネイルされた長い指も、すべてがカリギュラでした。
あのセゾニアを殺した後の、幼子のように戸惑ったような表情、
抱きしめ方、そこに愛は感じられたのに。
セゾニア「眠らなくちゃだめよ。ぐっすり眠るの。身をまかせきって、
何も考えてはだめ。私があなたの眠りを見張っていてあげるわ。」
セゾニア「そういう意味じゃない。私の言う事をよく理解して。純粋な心で生き、
そして愛する。それはとってもいいことかも知れないのよ。」
そちらにいくことは、簡単なことだったのに、彼には許せない。
それは挑戦なのか。反抗なのか。もっと先へいける・・・。
カリギュラ「エリコン!エリコン!何もない!まだ何もない!夜が重い。
エリコンはもう来ない。おれたちは永遠に罪人だ。夜は人間の苦悩のように重い。」
この台詞は、2回目に見たときにとても印象に残っていて、
若村さんのブログにも書かれていましたね。
この台詞を言うカリギュラが、泣きたくなるほど、とてもとても愛しいのです。
カーテンコール、あの舞台袖での胸に手をあててのお辞儀まで、
放送されて嬉しかったです。


その後に放送されたスペシャルインタビューもとてもよかったです。
左から、長谷川さん、若村さん、小栗くん、勝地くん、横田さんが、
並んで椅子に座っていました。
小栗くんは黒いパーカーに、黒い皮ジャン、黒いデニム。
メガネをかけて、キャップを被っています。
舞台に関連したことを語る小栗くんの言葉がとても好きです。
小栗「ふとやりながら、自分はすごい贅沢な芝居をさせてもらってるなあと、
   思った瞬間があって、二幕のあそこの食事のシーンっておおまかなことしか、
   決まってなくて、何をやってもいい状態なんですね。24の俺が取る行動を、
   みんながドキドキしながら、何がきてもいいように、反応しようと思って、
   待ってくれてる先輩の役者さんたちの姿を見るときに、    
   俺、なんて贅沢な芝居を今回、やらせてもらってるだろうなあと思って。
   それを感じたときにこの贅沢な時間をまだもう少し味わいたいなあと、
   思ったところもあるし。ほんとになんかその心に触れることができ、     
   キャラクターを作っていけたのは僕は初めてだったので、
   やればやるほど、ほんとに他者との関係性の中で、
   何を思ってそれを言っているのかとか、相手が何故それを思って、
   言ってきたのかとかっていうこと。やればやるほど分かることもあるし、
   自分では発見できなかったことを、ほんとにこうふうに5人で、
   ちょっと話したときとかに、あ、なるほど、そんなとらえ方も、
   あるんだってことが、どんどんわかるって、どうしたら、面白く、
   このカリギュラという世界を伝えることが出来るのかとか、    
   その裏にあるものっていうのをどういうふうに出すのが、
   一番いいのかって、いうのが、こんなにいっぱいある作品には、
   僕は初めて出会ったなあって思いますね」
若村さんは、「カリギュラの台詞ではないが、
もっと先へいけると感じさせてくれる作品」と言っていました。
カミュに見てもらいたかった。初日、11月7日はカミュの誕生日でも、
あったしという話も出て、横田さんは「玉ねぎを食べるのは大変だったけど、
作品が難解な分、深く深く携わっていけた気がする」と言っていました。
若村さんからみた小栗旬ということで。
若村「稽古場から精神も肉体も鍛え上げられていく感じっていうのが、
   見てて凄くわかる。なんかこう、朝顔の観察してるみたいな感じ」
小栗「だんだんツタ、巻いてきたの、俺(笑)」
若村「ツタくるくる巻いて、蕾出た、いっぱい出た、みたいな」
小栗(笑ってうなずく)
若村「稽古場で最初に会ったときからすると、
   ずんずん育っていったっていう感じがしますけど」
横田「いいなあ、そうやって見られてたんだ」
小栗「朝顔って呼んで」
若村「ひまわりじゃないの。ひまわりでもいいのになって自分で不思議だなあって、
   なんで朝顔なんだろうって。朝顔って螺旋を描いて伸びていくじゃない。
   だからスッとはいかなくて、あれ、停滞してるのか、進んでるのか、
   わかんないと思うけど、次の瞬間を見たら、ちゃんと伸びてるっていう、  
   そういう感じ」
小栗「これ、凄い誉め言葉じゃない?」
横田「いいなあ」
この言葉、嬉しいですよね〜。小栗くん、とっても嬉しそうでした。
そうです。ひまわりではなくて、朝顔のところがいいですよね。
勝地くんは僕はへちまでいいって言ってましたけど(笑)。
そして稽古中、蜷川さんが穏やかだった話。きっと蜷川さんは、
論破してきた人生だったとかという話から。
横田「旬は絶対この芝居の稽古で、声からすと思ってたんですよ。
   ザマーミロって思ってたんですけど。からさなかったんですよね。
   だからちょっとつまんない」
小栗「あはははは。ザマーミロ」
小栗「生の役者がその瞬間、その瞬間やる新鮮さっていうものが、たぶん蜷川さん、
   一番好きなんじゃないかと思うんですよね。役者同士がお互いやって、
   そこにひとつの何か見えるもの、パッと見えた瞬間が、蜷川さんの中では、
   これでいける!って思うんじゃないかな」
小栗「今回のカリギュラっていうものに関しては、
   多分こういうふう(両手で閉ざしていく動作)にしてったら、
   出口がなくなっていくと思うので、ある意味、この演出が、
   僕らの作るカリギュラっていうものでは、いいものだったのかと思ってるところは、
   僕はちょっとあったりするんですけど」
3年後はまた全然違ったものになるんじゃないか。セゾニアに対する愛情も、
今の俺にはここまでしか考えらない部分もあるけどとも言っていました。
それから友情の証、バングルを、長谷川さんだけ忘れて、
みんなにいじられてました(笑)。最後に。
小栗「いい芝居に出会えました、ほんとに。そしていい仲間に恵まれました。ええ」
若村「ほんとに」
小栗「ほんとに。ん。あのう、それぞれのキャラクターにほんとに適材適所で、
   みんな凄く真面目に演劇をとらえている人たちで、普段は決して、
   真面目じゃないんですけど(笑)。そこがでも面白いところで、
   ほんとにここにはいないもちろん他の皆さんも含めて、
   ベストメンバーでこのカリギュラという芝居を2ヶ月半作れたじゃないかなと、
   思うので、まあ、見終わった後ですけど、胸を張って、
   いい芝居だったでしょと言える作品だと思いますね」
横田「おお」
小栗「そんな感じで、また来週、会いましょう。あはははは」
最後は小栗くんらしくて(笑)、内容もとってもいいインタビューでした。
このインタビューを聞いただけでも、小栗くんの座長としての自覚、
そして謙虚さ、感謝する気持ち、この作品に出会えた喜び、
いい作品を作れたという充足感、いろいろと感じ取れて、
この「カリギュラ」に出会えて、本当によかったなあって思います。
私も、この「カリギュラ」に、24歳の小栗くん演じるカリギュラに出会えたことに、
とてもとても感謝したいです。