風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

タモーラという名の薔薇の花

雨が降ったり止んだりしています。
オリンピック、終わってしまいましたね〜。
やっぱりスポーツは素晴らしいなあって、たくさん感動をいただきました。
才能、努力、絆、潔さ、無念さ、力強さ、一生懸命さ、思いやり、感謝、
そして気持ちの強さ、歓喜、いろいろな感情が迫ってきましたよね。
正々堂々とルールのもとに清々しく、世界中の人々が競い合う、
平和の祭典がいつまでも続きますように。
さて昨日、ネットをウロウロしていたら、
タモーラ」という名の薔薇があるのを見つけました。
それが、ちゃんとシェイクスピアの「タイタス・アンドロニカス」の、
ローマに征服されたゴート族の女王、「タモーラ」から付けられている名前で、
ぱっと見、可愛らしい感じの花で、
でも独特なフルーティな強い香り、強健で〜というところが、
タモーラらしいかなあって思いました。そしてとても美しい薔薇でした。
ということで「タイタス・アンドロニカス」のエアロンについて。
蜷川さんがその美しさに嫉妬したという、
イギリスでセクシーのカリスマと言われた、エアロンですね。
小栗くんは、後にも先にも、情夫役って、エアロンのみですよね。
確か、wowow の「プルミエール」で、「タイタス・アンドロニカス」の稽古風景が、
取り上げられたときに、本番では違っていたのですが、
ある一場面、人々が右往左往する中、エアロンが皆に気付かれないように、
タモーラの手をすっと握って立ち去るシーンがあって、
そのときのエアロンが素敵だったんですよね〜。ドキッとしました。
エアロンの手のぬくもりを名残惜しそうに求めるように、
ゆっくり下ろすタモーラの腕が、また印象的だったのですが、
愛人だわ〜って感じがしました(笑)。
本番で使われなくて残念だったのですが、
現代劇でもいいので、情夫役とかあったら、今だったら、
匂い立つような色気で演じられるでしょうか。
その前にそういう役をやらない気もしますが(笑)。
とにかく長身で、その裾の長い赤い衣装を翻し、
悪の化身のような、理知的でしなやかで魅惑的なエアロンでした。
では、薔薇の花の名前にもなったタモーラの台詞から。


私のかわいいエアロン、どうしてお前だけは
暗い顔をしているの、何もかも陽気に晴ればれとしているのに?
ほら、どの茂みでも小鳥がきれいな声で歌い、
蛇は明るい日向でとぐろを巻いてまどろんでいる、
青葉は涼しい風にそよぎ、
木漏れ日が地面にまだら模様をつけている。
木陰は気持ちがいい、エアロン、座りましょう、
おしゃべりなこだまが真似をして猟犬をからかったり、
鋭い音色の角笛に答えたりしているのが聞こえる、
まるで天と地が同時に狩りをしているみたい、
でも私たちは吠え立てる声を聞きながら座っていましょう。
むかし放浪の王子イーニーアスとカルタゴの王女ダイドーは、
思いかけず幸運な嵐に見舞われ、
秘密をかたく守る洞穴に隠れて
楽しい戦いを交えたという、
私たちも同じように戦って、戯れて、それが済んだら
腕をからませて抱き合い、黄金の眠りをむさぼってもいい。
そうすれば猟犬も、角笛も、小鳥のさえずりも
私たちにとっては、赤ん坊を寝かしつける
乳母の子守歌になる。