風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

シェイクスピアの小道

晴れました。木々の緑が眩しいです。
小栗くんのお芝居について、彼のこういうお芝居が好き、というのは、
それぞれあると思うのですが、私は小栗くんの繊細なお芝居が好きなのですが、
随分前になりますが、2005年8月に「心の森」というタイトルで、
そのことについて書いたことがありました。ちょっとまたUPしてみますね。


心の森


小栗くんの繊細なお芝居が好きです。
私は演劇を勉強もしていないし、詳しくないのですが、
彼のお芝居を観て、感じていたことがあります。
ここからは観念的な話で、ちょっとおとぎ話みたいになりますが・・・
たとえば、感動の心の森があったとします。
それは最初は、薄っぺらな大雑把な森で、
でも嬉しいとか、悲しいとか、だいたいの感動は出来て、
そのうちに少し奥行きもでてきて、私なりには、
それで満足していたんです。
ところが小栗くんのお芝居によって、
その森にいっぱい小道が出来てきたんです。
その道を入っていくと、
ささやかに可愛い嬉しい花が咲いていたり、
深いところに小さな悲しい泉があったり、
心のひだがたくさん出来て、
いろいろなことに感動できるようになりました。
ずっとずっと憧れていたシェイクスピアの扉も、
彼によって開けられました。
忘れてしまった青春の揺らめきも、
彼によって懐かしく思い出されました。
いつも彼の演じる青年の想いは、
繊細にこまやかに心の森に響いてきたんです。
そしていっぱい小道が出来て、
深い深い豊かな森になったような気がします。


本当に、彼のお芝居の繊細さが、深い豊かな森へ導いてくれました。
小栗くんのおかげですね。小栗くんに感謝ですね。
そしてまたできたら、シェイクスピアの小道を歩いてみたいなあと思います(笑)。
舞台も映画もたくさん楽しみはあるのですが、
小栗くんからシェイクスピアの台詞を聞きたい。
夏が近づいてきて、オーランドーが恋しいせいもあるのでしょうか。
それこそ深い深いアーデンの森に迷い込んだままなのかもしれません(笑)。
では久しぶりに、シェイクスピアソネットを書きたいと思います。
このソネットの一篇を「タイタス・アンドロニカス」の公演中、
シェイクスピアのお誕生日イベントで、鋼太郎さん、麻美さん、小栗くん等が、
朗読しています。
もともと私は詩が好きなので、ソネット(十四行詩)というのは興味がありました。
その朗読したときとは訳者が違いますが、
こちらの本「シェイクスピアソネット 小田島雄志・訳」を買いました。


【 amazon.co.jp シェイクスピアのソネット 小田島雄志・訳 】
謎のソネット(十四行詩)154篇にこめられた、シェイクスピアの秘めた愛とは?詩人と美貌の青年貴族、そしてダーク・レディとの不思議な関係―ほとばしる愛、忍び寄る不安、狂おしいまでの嫉妬。小田島雄志の名訳一篇一篇を、山本容子の繊細にして華麗な銅版画が彩った、絢爛たる詩画集、待望の文庫化。


私は文庫本になる前に買っちゃったんですけど(笑)、素敵な本でした。
美貌の青年貴族っていいですよね(笑)。
では、シェイクスピアソネット 18番


あなたをなにかにたとえるとしたら夏の一日でしょうか?
だがあなたはもっと美しく、もっとおだやかです。
手荒な風が五月の蕾を揺さぶったりして
夏のいのちはあまりにも短くはかないのです。
ときには太陽の眼差しが熱すぎることもある、
ときにはその黄金の顔に雲がかかることもある、
そして偶然、あるいは自然のなりゆきによって、
美しいものはすべてその美しさを奪われていくのです。
だがあなたの永遠の夏は色あせることもなく、
あなたに宿る美しさは失われることもなく、
死神に「死の影を歩む」と言われることもないでしょう、
あなたが永遠の詩の中で「時」と合体しさえすれば。
  人々が息をするかぎり、その目が見うるかぎり、
  この詩は生きてあなたにいのちを与え続けるでしょう。


シェイクスピアソネット 53番


あなたの実体はなんですか、なんでできているのですか、
あなたとは異なる無数の影がつきそっているとは?
人間だれでも一人につき一つの影をもっています、
だがあなたは一人なのにあらゆる影を見せています。
ヴィーナスに愛された美青年アドーニスを描けば、
それはあなたをお粗末になぞった絵姿にすぎず、
トロイ戦争の因となった美女ヘレンを再現すれば、
ギリシャ服をまとったあなたが描き出されます。
春について、あるいは秋の豊穣について語れば、
春はあなたの美しさの影を見せるにすぎず、
秋はあなたの豊かな恵みとして現われます、
私たちはあらゆるありがたい形にあなたを見るのです。
  あなたは外側の美しいものすべてに影を宿している、
  だが変わらぬ心の固さはあなただけのものです。


情熱的ですよね〜。美しく素敵な詩です。
小栗くんは、シェイクスピアとか、カミュとか、
第九に彩られた「時計じかけのオレンジ」とか、
そういう古典的なものに、凄く合う人だと思います。
生来の品の良さ、美しさと相まって(それこそ美貌の青年貴族・笑)、
より一層、魅力が引き出され、オーラが輝き、
唯一無二の存在になるのだと思います。