風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

人間失格 太宰治と3人の女たち 感想

晴れました。少し秋の風になってきました。

人間失格 太宰治と3人の女たち」、まずは今日行われた、

公開記念舞台挨拶について。

人間失格 太宰治と3人の女たち」の公開記念舞台挨拶が、本日9月14日に東京・丸の内ピカデリーで行われ、キャストの小栗旬沢尻エリカ二階堂ふみ千葉雄大、監督の蜷川実花が登壇した。

小栗は「早朝から観る感じの映画なのかわかりませんが……。今の気持ちを持ち帰って、エネルギッシュな1日を過ごしてもらえれば」と鑑賞を終えたばかりの観客に呼びかける。撮影初日から太宰と静子のラブシーンがあったという本作。沢尻は「小栗さんはこういう撮影慣れてらっしゃるのかな?と思っていたら、全然来ない(笑)。どうやらここまで激しいのはやったことなかったそうで、意外だなと。もっと来いよ!みたいな感じでした」と裏話を披露する。現場では蜷川から「もっとグイグイ行って! 胸触って!」と指示が飛んでいたというが、小栗は「初日は“役者失格”だったなと。いざ『触りなさい』と言われると恥ずかしくて」と猛省。蜷川から「結局触ってなかったし!」と詰め寄られると、小栗は「覚悟を決めて現場に入ったつもりだったんですけど、沢尻エリカのムードにのまれちゃいました」と苦笑した。

劇中では、実際に記録として残されていた太宰の甘い言葉の数々が登場する。小栗が「『大丈夫、君は僕が好きだよ』はちょっとすごいセリフですよね……」と信じられないような顔をしていると、蜷川は「これは絶対使いたかったから、初期の段階で二重丸してました!」と説明。また千葉は使いたいセリフを尋ねられると、太宰と富栄の密会シーンの一言を挙げて「『駄目です』と拒む富栄さんに、太宰さんが『え? なんで?』って言うのがよかったですね。使う機会ないですけど(笑)」とはにかむ。沢尻は、スクリーンに映し出された太宰のセリフを眺めながら「こんなクサいこと言われたら 、マジで言ってんの?って笑っちゃうと思う!」と無邪気に言い放った。

また二階堂は、小栗の壮絶な姿を目撃したと話し始める。晩年の太宰を演じるため、最終的に約15kg減量したという小栗。二階堂は「スタッフさんがバタバタしているなと思っていたら、小栗さんが痩せすぎて脚を動かせなくなってしまったみたいで。塩水に脚を浸けている姿を見たとき、役者魂を感じました」と回想する。小栗は「体の塩分がなくなって脱水症状になっちゃって。ちょっと無茶な減量をしてしまった結果です」と反省しながら振り返る。そして最後に「僕が36年間培ってきた、すべてをぶつけた太宰治になっていると思います。悔いのない作品ができました」と自信を持って伝えた。

 

動画もあります。

 

その「人間失格 太宰治と3人の女たち」観てきました!

本当は明日15日に、名古屋での公開記念舞台挨拶で観たかったのですが、

あえなく撃沈しましたので(笑)、近くの映画館で観てきました。

この映画を観た後、どんな気持ちになるだろうと想像していたのですが、

なんだか凄く熱いものを感じながら、帰ってきました。

この気持ちはなんだろうと思って、

私はファン歴15年になりますが、私のファンとしてのひとつのゴールは、

ハムレット」でした。

しかし蜷川演出の「ハムレット」は幻になり、ゴールが見えなくなってしまって、

でも今日、そのゴールが、また違った形で見えた気がしたのです。

運命と呼ぶにふさわしいほどの、やはり扉を開けるのは、

蜷川親子の手に寄ってだったのかと、

本当に、これほどの凄い太宰を魅せてくれて、演じさせてくれた実花監督に感謝です!

こんなにも魅力的に太宰を演じてくれた小栗くんに感謝です!

この作品に出合えた嬉しさでいっぱいです。

本当に本当に魅力的な小栗太宰でした。

優しくて、残酷で、愚かで、甘ったれで、手に余る才能を信じることが出来ず、

堕落して、酔っ払いで、色っぽくて、愛しくて、孤独。

彼の複雑さのその迷路に、まわりは入り込みたくて仕方ない、

そうなったら、一番愛してもらった証が欲しくてしかたない、

血を吐きながら、ゆらゆらと揺れる瞳は、最後の最後まで、

何かを掴みとりたかった太宰を象徴していました。

物語は、3人の女性を行き来し、人間失格を書くまでなので、

それほどの山場があるとは思えないのですが、2時間があっという間でした。

どんどんこちらも太宰に惹かれていくのです。

目立つ長身も、彼女の首筋に這わす長い指も、吐息のような甘い言葉も、

細い背中も、血に染まった赤い唇も・・・。

目が釘付けになっていきます。

自分から生み出すことは、こんなにも凄惨なのか。

でも音楽もそうですが、どこかエネルギッシュでもありました。

確かに太宰の力を感じるというか、

こんなに長い間読まれる小説を書いた人ですから、

当然パワーはあったはずで、そういう映画に作られていたと思います。

3人の女性も、ある意味、皆逞しく描かれていて、

実花さんらしく、じめじめしなくて、そこがまた魅力的でした。

そうそう、この公開記念舞台挨拶にあるように、

小栗くん、実はそれほどラブシーンを演じてきていないので、

たくさんのラブシーンも、美しかったり、リアルだったり、楽しめました(笑)。

美術も素晴らしかったし、長身で細身の太宰の衣装も凄く素敵でした。

小栗くんの言葉にあるように、

「僕が36年間培ってきた、すべてをぶつけた太宰治になっていると思います。

悔いのない作品ができました」

その言葉どおりの本当に美しく凄い映画だったと思います。

小栗くんの映画としては、久々に何回も観たくなる映画でした。

ではここからはネタバレを含みますので、読みたい方だけお願いします。

 

 

 

人間失格 太宰治と3人の女たち        蜷川実花監督作品

                      太宰治 小栗旬

                      津島美知子 宮沢りえ

                      太田静子 沢尻エリカ

                      山崎富栄 二階堂ふみ

最後の最後、富栄さんと心中するときの、太宰の瞳が忘れられない。

本当に今日、死ぬの?とも、ここが潮時とも、

達観した大人の瞳とも、幼い子供の瞳にも見えて、

ああって、手を差し伸べたくなるような、そんな瞳でした。

本当に観たこともない小栗旬がそこにいました。

こういう繊細な表現がたくさん観ることが出来た映画で、

まさに扉が開いた作品だと思います。

パンフレットには、実花監督が、小栗くんの起用について、

「圧倒的なスターでありながら、周囲から正当な評価をされていないという点で、

太宰と小栗君には共通点があり、トップにしかわからない辛さ、

スターにしか見えていない景色があるはずだと思いました。」と書かれていましたが、

まさに納得して、心が痛かったです。

静子さんとのラブシーンは、ベッドでもバスタブでも部屋の隅でも、

美しくて可愛らしくて、素敵でした。

富栄さんとのラブシーンは、最初こそ、太宰主導でしたが、

だんだんと富栄さんが積極的で、それは生々しくもあり、

されるがままの太宰も魅力的でした。

富栄さんと出会った後、太宰が吐血し、

富栄が太宰の前に行き、その唇の端に残った血の跡に手を伸ばし、

太宰がその腕を掴み、見つめて、「なに?」というところ、ドキッとしました。

太宰はちょっとした流れでキスしたつもりが、

富栄はすでに、深く深く太宰を愛し始めてしまっていることに、

太宰は無防備なんだなあ(モテ男ならではのそこも魅力)と思いました。

美知子さんは、やはり本妻ならではの誇りがあるというか、

あの泣き笑いながら、インクを子供たちとともに顔に塗りあうところ、

切なかったですね。

可愛い子供たちとりえさんの演技にぐっときました。

本当に「人間失格 太宰治と3人の女たち」に出会えて嬉しかったです。

素晴らしい作品でした。