風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

ソネット 23番 18番

雨が降りそうな天気です。
s-woman.netのステージのシアターレビューのところに、
「タイタス・アンドロニカス」のレビューがUPされていました。
写真、素敵ですよ〜。そういえばあの舞台は照明もとても綺麗で、
幻想的でした。小栗エアロンも誉めてくれています。
さて、やはり前々から私は詩が好きなので、
先日のシェイクスピアバースデイセレモニーの、
小田島さんの訳で、シェイクスピアソネットの本が出ていると、知った時点で、
アマゾンで注文してしまい、早くも昨日、本が届きました(笑)。
版画家の山本容子さんが挿絵を描いていて、素敵な本でしたよ。
まだ154篇は読んでいませんが、
では小栗くんが詠んだという、23番を。


未熟な役者が舞台に立つともうそれだけで
恐怖にふるえて自分の役を忘れてしまうように、
あるいは獰猛な野獣が怒りにのぼせあがると
力があまってかえって力を発揮できないように、
私も自信のなさからどう受け取られるか恐れ、
愛の正式の告白を結局は言い忘れてしまう、
そして自分の愛の力が重すぎるあまり
かえって自分の愛に押しつぶされるように思う。
とすればわが詩よ、もの言いたい胸のうちを
巧みに語る声なき代弁者となってほしい、
そのほうがことば数多く正確に伝える舌よりも
強く愛を訴え、その報いを求めるだろう。
 ああ、声なき愛が書いたことばを読みとってほしい、
 目で聞くことこそ愛のすばらしい知恵なのだから。


もうひとつ、詠まれた中で私が気に入った、18番を。


あなたをなにかにたとえるとしたら夏の一日でしょうか?
だがあなたはもっと美しく、もっとおだやかです。
手荒な風が五月の蕾を揺さぶったりして
夏のいのちはあまりにも短くはかないのです。
ときには太陽の眼差しが熱すぎることもある、
ときにはその黄金の顔に雲がかかることもある、
そして偶然、あるいは自然のなりゆきによって、
美しいものはすべてその美しさを奪われていくのです。
だがあなたの永遠の夏は色あせることもなく、
あなたに宿る美しさは失われることもなく、
死神に「死の影を歩む」と言われることもないでしょう、
あなたが永遠の詩の中で「時」と合体しさえすれば。
 人々が息をするかぎり、その目が見うるかぎり、
 この詩は生きてあなたにいのちを与え続けるでしょう。


当たり前ですが、やはり朗読する詩っていう感じですね。
声が聴こえてきそうです。
こんなシェイクスピアソネットを詠む23歳って、
なかなかいないでしょうね。素敵な会でしたね。