風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

タイタス・アンドロニカス 2回目 感想

今日も暑いくらいです。
では、昨日の「タイタス・アンドロニカス」2回目の感想を書きたいと思います。
4月23日に観た時(1回目)とは、演出がところどころ変わっていて、
子役の子も違う男の子でした。カーテンコールは、3回。
2回目くらいから、小栗くんは鋼太郎さんと顔を見合わせたりして笑顔でした。
3回目にみんなで手を取り合ってバンザイをするようにお辞儀をするところで、
中央の3人くらいしか手を繋いでなくて、他の方々は退場しそうになっていて、
あれれって感じで、笑い合っていましたが、
小栗くんの左側の人とか、気付いて慌てて戻って来ていて、
最後はみんな揃ってお辞儀をしていました。
そのあとですね。タイタスがエアロンの裾を踏むのは(笑)。
小栗くんの親しげな笑顔が可愛かったです。
昨日はスタンディングオベーションはなくて、
お芝居の途中に拍手が入ったりしていました。
では、ネタバレも含みますので、読みたい方だけお願いします。













タイタス・アンドロニカス      5月4日(木) 
                      演出    蜷川幸雄
                      タイタス  吉田鋼太郎
                      タモーラ  麻実れい
                      エアロン  小栗旬
                      さいたま芸術劇場
                 
小栗エアロンは、パワーアップしていました。
前は繊細な危うさも少し見えて、しなやかな悪の華でしたが、
今思うと、そこも好きだったんですけどね(笑)。
昨日は誇らしげに逞しく、妖しく咲いた悪の華でした。
白い舞台にあの赤い衣装はやはり視覚的にも異種な感じがしますよね。
赤もくすんだような赤で、あのアンティフォラスのマントの品のいい赤とは、
違う感じだなあって思いました。
エアロンが引きずって歩く、赤い上着の裾はマントのように長くて、
その長い裾を翻し、通路を駆け降りるその姿は、
まるで悪魔の羽がついているのではないかと、見間違うほどに、
速く、美しく、浮世離れしたその容姿、
軽やかに滑るような立ち居振る舞いに、
そしてその長い指先の触れる感触に、ぞくぞくして心惹かれました。
アフタートークで松岡さんがエアロンはいい台詞がいっぱいあると、
言われていましたが、改めてそうだなあって思いました。
声は本当によく出るようになりましたよね。美しい台詞も明瞭に聞こえます。
ただ大きな声ではなくて、響きわたる声。
「金色の太陽はまず朝に挨拶し、その光で大海原を黄金色に染めると
まばゆい馬車を駆って天の頂をめざし、雲にそびえる峰々を見下ろす〜」
この最初の長台詞で、いつも成長したなあって、うっとりしています。
エアロンはずっと憎々しい悪ですが、
最後の最後になって、生き埋めにされるために連れて行かれるところで、
ふっと自分の子供を見る目が、すごく、心に響く目で・・・。
今思い出しても胸がいっぱいになってしまいます。
あの一瞬で、エアロンは今までのことを後悔したんだろうか。
神に背いた人生を憐れむ気持ちが少しでも横切っただろうか。
ずっとギラついた恐い目をしていたのは、
あの目の伏線だったのかというほどに、心に迫る目でした。
昨日は後ろの方で観たので、全体を見渡すことが出来たんですが、
本当に舞台美術が美しいです。
やっぱりあの森が秀逸ですね。照明も妖しくて、とても幻想的で綺麗でした。
それからもう一度観て、やっぱり吉田さんのタイタスだなあって思いました。
昨日のアフタートークで、松岡さんが仰っていましたが、
あの悲惨な状況である中で、タイタスに優しさが見えたとか。
凄く悲しみとか、怒りとかが、圧倒的に伝わってきて、
俳優さんというか人間の力って、凄いなあって思いました。
それからタモーラの麻実さんは、もう話してる声が、妖術師のようで(笑)、
美しくて、妖艶で、凄い存在感で、思わず引きつけられます。
ラヴィニア役の真中さんは綺麗で、気が強いお嬢さんっていう感じ。
舌を切られて、話せなくなった後の方が迫力があります。
それからマーカス役の壤晴彦さんがとても声を聞くと、落ち着く感じで、
ひとりだけ正常な域にあるような、あの惨劇の中で安心を感じます。
1回目に観たとき、この重い作品をもう一度観るのは大変だと思いましたが、
また違った思いで、観ることが出来ました。
後から後から、じわじわ感動してくる力のある作品でした。
この作品に小栗くんが参加出来て、目覚しい成長も見られて、
本当によかったなあって思いました。