風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

BORDER 第3話

晴れの日が続きます。
「BORDER」第3話、観ました!
そんなに怖くはなかったのですが、怖いほどにずっしり深く重かったです。
ずっと安吾の活躍が描かれて、犯人とのシーンはまるで会話劇のようでした。
そして同じ復讐の連鎖としては、希望が見えた「ムサシ」より、
「タイタス・アンドロニカス」を思い出しました。
印象的な台詞がたくさんありました。


安吾「少し前まで、すべては単純だったんだ。犯人がいて、それを俺が捕まえる。
    それだけでよかった。でも今は違う。
    いろんなものが見えすぎて、すべてが複雑になった。
    ときどき、どっちに進めばいいのかもわからなくなる」


ミカ「その悲しい連鎖を断ち切るこのがあんたの仕事でしょ。単純でしょ」


安吾「どう思う?」
ガーファンクル「本物のヒーローは誰の命も奪わない」


バーテンダー「あまり深く関わるとまずいんじゃないですか。
         あれは警察官と違う匂いのする人種ですよ」
赤井「ばかだなあ、お前は。だから深く関わるんだろうが」


安吾「あなたには、自首をしてほしかった」


安吾「殺されて当然の人間なんて、絶対にいるわけない」


市倉「俺、これまで、違法な手段で事件を解決してきた刑事を何人も見てきた。
    そういう連中のほとんどが自滅してる。
    一線を越えるごとに心が蝕まれていって、
    気がついたらこっち側に戻れなくなっているんだ。
    お前、あっち側の人間になるなよ」
安吾「はい、気をつけます」


ガーファンクル「で、いつまで続ければいいんですか」
安吾「ずっと。・・・この世界から、悪意が消え去るまで」


これらの台詞を受け止めるとき、
すべてがその言葉どおりに受け取れないというか、
まるでボーダー線上で揺らめくように、複雑にこちらに響いてきますよね。
特に「殺されて当然の人間なんて、絶対にいるわけない」までの、
シーンについては【 BORDER サイト 】の「BORDERの作り方 第3回 連鎖」に、
こう書かれていました。


小栗さんは、この第三話で相当難しい演技をやってくれました。特に、「殺していい人なんていない」というセリフについて、これってどういう感情なんだろう…と本人もずっと深く考えられていたと思いますが、この言葉は最後に捕まった犯人に言っているようで、自分自身に言い聞かせているということに気づかれたような気がします。俺自身、まだ本当にこれが正しいのかは分からないけど、今の俺はこの言葉を自分に言い聞かせているんだ。そんな石川の思いを込めたのが、あのセリフであり、複雑な表情を見せてくれた小栗さんの演技の真骨頂だったと思います。現場で目の当たりにしたときは、鳥肌が立ったほどです。改めてじっくり見てほしい場面です。


そうですよね。「自分自身に言い聞かせている」ように、
「まだ本当にこれが正しいのかは分からない」〜凄く伝わってきました。
一見、熱血でただ表面的な正義感で突っ走る刑事が言うような台詞なのですが、
こういう複雑さ、深さを小栗くんが繊細に表現して、
言葉として同じでも、全く違う感情で伝わってきました。素晴らしいと思います。
本当に、小栗くんの演技の真骨頂だったと思います。
そして「あなたには、自首をしてほしかった」の後、
犯人の言葉を聞く安吾が、何故かはっとするほど美しくて、
目にうっすら涙をためていて、あるときそれがきらりと光って、
少しこけた頬に影がさし、聖なるもの、正義を求めながらも、
行く末の危うさに、心掴まれました。
そうなんです。悪意が消え去った世界なんて、どこにもないのも、
分かっていると思うんです。
これから安吾はどうなっていくのでしょう。
本当に楽しみですね。こういう今までにない刑事ものに出演できて、
よかったなあと第3話を観てますます思いました。
カリギュラ」を観たとき、カミュの頭の中はこうなんだ〜って、
思ったことがありましたが、
「BORDER」を観ると、金城さんの頭の中はこうなんだって(笑)、
興味がわくというか、ドキドキワクワクしています。
「BORDER」、また素晴らしいお話を期待しています。
カリギュラ」のケレアの台詞のように、
「あの男は考えることを強要する。みんなに無理やり考えさせる。
安全ではないということが人を考えさせるんだ。」
そんな感じで、いろいろなことを考えさせてくれる作品だと思います。
追伸(笑)。
昨日書いた、小栗くんのあのポーズはヒーローのポーズだったのですね(笑)。