風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

石川安吾 総評

梅雨の晴れ間、初夏の風が吹いています。
また今日から「風色の椅子」を再開しようと思います。
お休みの間、更新がないにもかかわらず、訪れてくださった方々、
本当にありがとうございました。
ただ以前のように、月〜金まで毎日書くということが、
出来ないかなと思いますので、本当に、たま〜に(笑)、
腰掛けに来てくださると嬉しいなあと思っています。
よろしくお願いいたします。


さて昨日「BORDER」最終話、観ました!
もうなんという幕切れだったのでしょう。
そしてなんという石川安吾だったのでしょう。
昔々のお話で恐縮ですが、皇族の島津貴子さんが婚約をされたとき、
「私が選んだ人を見てください」と仰いましたけど、
まさに、「私がファンになった人を見てください!」と大きな声で言いたいような、
こんなに素晴らしい演技をする役者になったこと、
ファンとしてこれほど誇りに思うことはありません。
石川安吾、本当に素晴らしかったですよね。
演技ってまずは伝わるか否かなんですけど、
随分若いときから、伝わる演技をする人ではあったのですが、
こんなにも、心を鷲掴みにされるような、しかも心の襞の繊細さまで、
苦しいほどに、伝わってくるなんて、
小栗くんと石川安吾の出会いに本当に感謝します。
何より石川安吾を生み出してくれた金城さんに感謝ですね。
なんといっても 0 から生み出す金城さんの力は凄く大きいと思います。
「BORDER」ツイッターにも「物語の力」という言葉がよく出てきましたが、
その「物語の力」をまざまざと思い知らされた「BORDER」でした。
金城さんは、私はドラマ「SP」は観ていないので、でも映画「GO」は観ました。
その当時、映画賞を総なめにした素晴らしい映画で、
窪塚くん、柴咲コウさん(「BORDER」ツイッターにも呟いてくれましたね!)が、
とても魅力的で、凄く印象に残っている映画です。
その金城さんに、当て書きをしていただいた小栗くん。
当て書きの場合、小栗くんのどの部分をピックアップしてくださるのかが、
楽しみなんですけど、金城さんが選んだのは、
小栗くんの繊細さ、真っ直ぐさ、男の子の部分、
そして危うさでした。
これらは私が小栗くんを好きな部分ととても重なっていて、
それらを表現するために必須の、スレンダーな体型とも相まって、
細身で手足が長く、美しい身体のラインがより際立って、
もう目が離せないほど、切ないほどに魅力的でした。
前髪の長いサラサラの黒髪、白い襟、
長身のすらりとした身体を黒いスーツで包み、
静謐で淡々としていて、死者と話せるゆえの、
引いた画面の傍らにひとり佇む姿の切なさ、美しさ。
彼がコツコツと冷たい廊下を歩く姿、心もとない後ろ姿、立ち姿、
助けを求めるような哀しげな瞳は迷い子のようで、
母性を刺激されました。
アクションシーンはキレがあって疾走感があって魅力的で、
ボロボロでも色っぽく、心を持って行かれました。
こんなにも愛すべき石川安吾は、
市倉班長、立花、比嘉ミカ、それから裏社会の、
赤井、サイモンとガーファンクル、便利屋スズキ、
皆から優しさと愛を注がれていたのに、正義を使命のように感じ、
孤高を貫いてしまう姿は、少しカリギュラと重なりました。
「BORDER」はでも本当に、このキャストの方々の違和感のない嵌り具合といい、
脚本、演出、映像、照明、アングル、音楽、どれも素晴らしいクオリティで、
どれひとつ欠けても、
あの「BORDER」の世界が築きあげられなかったのではないかというくらい、
オリジナリティ溢れる「BORDER」の世界感でしたよね。
その世界を生きた安吾の、伏し目がちなまつ毛、
哀しみを湛えた瞳、ふとした美しい横顔、そして無念の涙が、
またあの緑がかった暗い映像とともに浮かび上がってきます。
今の世の中、右なら右、左なら左とわかりやすい方向に流れて行きがちだけど、
その方が楽で、すっきりもするけれど、
もっと深く考えるべきことがたくさんあると、「BORDER」は、
警鐘を鳴らしているようにも思えました。
正義と悪の間で揺れる安吾の、いろいろな人の思いを抱え込み、
まわりの人の思いも感じながら、がんじがらめになっていく姿は、
人間の強さ、弱さがリアルに伝わってきて、痛々しく、
胸が締め付けられました。


そんな皆の熱い思いが集結した「BORDER」、
数字にも嬉しい結果が現れました。
【 小栗旬主演『BORDER』最終回14.4%、全9話平均12.2% 】
俳優・小栗旬主演のテレビ朝日系ドラマ『BORDER』(木曜 後9:00)の最終回が5日放送され、平均視聴率が14.4%だったことが6日、わかった。4月10日放送の初回9.7%でスタートし、全9話の平均は12.2%。番組最高は5月22日放送の第7話で記録した16.7%だった。視聴率はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区。
同ドラマは、直木賞受賞小説『GO』や『SP 警視庁警備部警護課第四係』など大ヒット映像作品の原案・脚本を手がけた金城一紀氏による完全書下ろし作品。小栗演じる主人公の刑事・石川安吾が、“死者と対話できる”特殊能力を使って事件解決に向けて奔走する。斬新な設定だったが、視聴者に浸透するに従って視聴率もアップ。
初回=9.7%、第2話 =9.7%、第3話=10.1%、第4話=12.0%、第5話=13.1%、第6話=11.6%、第7話=16.7%、第8話=12.8%、第9話=14.4%。第4話で初めて同じ時間帯に放送されているTBS系ドラマ『MOZU Season1 〜百舌の叫ぶ夜〜』(第4話=10.3%)の視聴率を上回り、その傾向は最終回まで続いた。
1話完結で生と死、正義と法、死者からもたらされる真実と事実とのギャップなど、さまざまな境界線を描きながら、全体を通した大きなストーリーでは、最終回で主人公がある一線を越えてしまう衝撃的な結末を迎えた。犯人役で大森南朋が出演し、小栗とともに悪と正義、紙一重の攻防を熱演した。


なにしろその作品から、スタッフ、キャスト皆さんがひとつになって、
ただひたすらに良い作品を、挑戦的な作品を作ろうとする心意気が、
凄く伝わってきました。
それに比例するように、女子サッカーが劇的勝利の後の最高視聴率、
それも第7話という「BORDER」を象徴する回のときに、
それが実現するという奇跡が生まれ、奇跡は呼び込むものだなあと思いました。
そして最終回も素晴らしい数字ですよね。
数字がすべてではないけれど、数字でも証明されたことは、嬉しいなあと思います。
小栗くん、本当によかったですね!
小栗くんのドラマ史上、大きな一歩となった、質の高いとても魅力的な作品、
しかもオリジナルで挑戦的な作品、「BORDER」に感謝、
そしてその世界を生きてくれた、
石川安吾くんに、小栗くんに感謝します。


【 第7話の市倉の言葉より 】
「無邪気に野原を走り回ってる子供を見たら、
 怪我をしないように守ってやりたくなるのが、大人ってもんだろ」
「ヒーローは必要だ。だがな、強すぎるとヒーローは怪人と変わらないんだ。
 人間じゃなくなっちまうんだよ」
「これだけは忘れるな。強い光が差すところには、
 必ず濃い影も浮かぶもんだ。影に飲み込まれるなよ」


【 BORDER ツイッターより 】
【小栗】僕の中のBORDERが終わった。
本当に苦しくてつらい数ヵ月だった。
石川くん、ありがとう。
君に出会えて本当に良かった。
本当にありがとう。
ゆっくり休んでください。
またいつか、お会いできたら。