風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

間違いの喜劇 109シネマズ名古屋

よく晴れました。
土曜日の「絶体絶命クライシス」は、実はこういう系統の番組は苦手で、
ほとんど早送りで見てしまい、
だからどうやって助け出されたのかわかりませんでした(笑)。
小栗くん、西島さん、新木さん、野間口さんが話しているシーンのみ見ました。
小栗くん、眼鏡が可愛かったです。「CRISIS」第8話、楽しみですね。


さて「花髑髏」を観られないので、せめてと思って、
一周忌追悼、蜷川幸雄シアター「間違いの喜劇」を、
109シネマズ名古屋で観てきました。
今まで、ドラマ、映画、舞台の DVD や Blu-ray を、
たくさん買いましたが、その中でも一番見ているDVD が、
「間違いの喜劇」で、好きなシーンは台詞を諳んじるくらい観ていたのですが、
でも映画館で観たら、また感動して帰ってきてしまいました。
まず鋼太郎さん演じるイジーオンがこれまでのことを話すシーンで、
すこし目が潤んで、次に、小栗くん演じるアンティフォラスが、
月川さん演じるルシアーナに、愛を告白するシーンで、涙が流れ、
最後、皆が巡り合えてからのダンスそしてラストまで、
なんだか恥ずかしいくらい泣いてしまいました。
やっぱりそれは蜷川さんの愛を感じたからなんですよね。
日常を洗い流すようなこんなにも美しく幸せな喜劇を届けてくれたんだなあ、
小栗くんを大抜擢して、主役にしてくれて、
目をかけてくれて、鍛えてかつ愛を持って可愛がってくださったんだなあ、
大きなスクリーンに映るシェイクスピアの世界は、
美しさと慈愛、笑いと涙、煌く言葉たち等々、
心を満たすには充分な魅力に溢れていました。
このころの小栗くんは本当に夢のように美しくて、
ルシアーナに告白するシーンなんて、
もうロマンチックと透明感と愛と純粋さが、
終始零れ落ちているような感覚に陥ります。
随分長い間、ファンでいますが、今の小栗くんを見ると、
その魅力も演技力も地位も、もう小栗くんが選んだ道は間違っていなかったと、
当然思うのですが、でもこの「間違いの喜劇」に出ていた頃の、
小栗くんはそのときだけの輝きがあって、私はとてもとても好きでした。
華奢で細身で繊細で、高い背、長い足、抜けるような白い肌
こめかみから首筋から鎖骨へと流れる汗さえ真珠のよう、
美しい瞳の睫毛にもその真珠は留まり、
細くて長い指は、音楽に乗ってひらひらと舞い、
その形よい唇からシェイクスピアの台詞が語られる・・・。
生の舞台も、東京と、大千秋楽の名古屋を観たので、
そのときの美しさも手に取るように、甦ってきました。
特に大千秋楽では小栗くん、怪我をしてしまって、
今でも左眉の下に傷がありますよね。
そのとき、金細工師のアンジェロ役のたかおさんが、
小栗くんの頬や顎についた血を拭いてくださったり、
たかおさんが通路を使って去るときに、客席に向かって、
「大丈夫、たいしたことないからね」と小声で言いながら、
去っていった様子を思い出したりしていました。
出演してくれた皆さん全員が、流れる血を拭くハンカチを持ってきてくれたり、
小栗くんをフォローしてくれてたんですよ。
優しくて温かく、その姿にも感動しました。
そうそう、双子役の小栗くんと高橋さん、映像で観ると、
カットして撮っているみたいですが、実際、舞台で演じていますので、
兄で出たと思ったら、涼しい顔で弟で出てきたり、大変でしたよね。拍手、拍手です。
そして大千秋楽、カーテンコール、
小栗くんが客席等を駆け回って蜷川さんを見つけ出し、舞台に上げ、
蜷川さんが小栗くんと高橋さんの腕を持ち上げて、
バンザイをするようにお辞儀をしてくれて、
そのにこやかなお顔を今でも思い出します。
その後、蜷川さんは小栗くんの肩を少し抱くようにして、舞台奥へ去っていきました。
やっぱりやっぱりやっぱり「ハムレット」が観たかった。
今の小栗くんをどういうハムレットにしてくれるのか、
どれほど美しいハムレットになったのか。
最後はここへ行きつきます。
でも蜷川さんには、今でもこうやって、
舞台を映した映像を映画館で観ても、幸せになるという、
褪せない宝物をいただいたので、感謝の思いしかないです。
しかも小栗くんを見出だしてくれたこと、感謝してもしきれないほどです。
何度も何度も観たDVD だったので、さらっと観るだけかなと思っていたら、
思いのほかいろんな感情が駆け巡ってきてしまい、
胸がいっぱいになって帰ってくることになりました。
何より可愛く美しいアンティフォラスに、
映画館で会えたことがとてもとても嬉しかったです。
映画館を出ると、眩しい日差しの中、涼やかな風が吹いていて、
頬を撫でる風の優しさにアンティフォラスの台詞を思い出しました。


「美しい人、それ以外にあなたの呼び名を知らないし、
 なぜあなたが僕の名前をご存じなのかも分かりません。
 あなたの知識、あなたの美しさは、
 地上の奇跡、地上の神です。
 教えて下さい、かわいい人。どう考え、どう話せばいいのか。
 鈍く、多くの間違いに窒息しかけ、
 たよりなく、浅はかで弱い僕の頭に、
 あなたの言葉の隠された意味を明かして下さい。
 なぜ、僕の純粋で一途な魂を、
 未知の不義の世界に、さまよわせようとするのです?
 あなたは神ですか?新たに僕を造り直したいのですか?
 ならば造り変えて下さい。あなたの力に従います。」


「銀の波間にその金髪を拡げて下されば、
 その輝かしい空想の中で、
 至福の果てに死んでも本望です。
 浮いた恋なら沈むがいい、溺れるがいい。」


「いや、あなたその人を、あなたは僕の無ニの命、
 僕の目の澄んだ瞳、僕の胸の大切な心、
 僕の糧、僕の運命、僕の希望の的、
 僕の地上の唯一の天国、あなたさえいればそこが天国だ。」


小栗くんがまたシェイクスピアの舞台に立てますように。