風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

ジョン王(2023年1月 シアターコクーン)

雨が降っています。

昨日wowowで放送された東京公演シアターコクーンでの「ジョン王」を、

観ました。

まず、舞台の中央が駐車場と繋がっていてそこから小栗くんが現れるところは、

後ろに普通に車が通ったりしていたので、

まさに現代の雑踏の中から「ジョン王」の世界へ迷い込むという感じで、

より印象的でした。

吉原さんのジョン王を初めて見たのですが、

実直でノーマルで威厳がありながら気弱さや愚かさも感じられて、

この吉原さんのジョン王なら、ここまで特殊な演出じゃなくても、

オーソドックスな演出でも似合っていたのではないかなと思いました。

だからフィリップが王様について行こうとするとき、より説得力があるのは、

吉原さんのジョン王かなと思います。

鋼太郎さんのジョン王はなにしろ愛嬌があるので、お調子者?のような感じがして、

それはそれでついて行きたくなると思うのですが、

君主と臣下がより鮮明になるのは吉原さんのジョン王かなと思いました。

だからジョン王が「指揮権はお前にわたす」と言ったときの、

フィリップの頬に触れるジョン王の手がとても悲しくて、

ジョン王とフィリップ、お互いの心情が凄く伝わってきました。

そして当然ながら小栗くんは背が高く足が長く輝くような華があり、

手にキスする仕草もさまになり(笑)、殺陣も格好よく、

長台詞も感情の起伏がちゃんと伝わってきて惹き込まれ、

板の上に立つ美しい彼はもう申し分ないと思います。

また舞台に立ってほしいですよね。定期的に舞台に立ってほしいですよね。

こんなに華を持っていて、その実力も才能もあるので、

ハムレット」は悲願ですが、「マクベス」も観てみたくなりました。

最後のシーン、逆光に照らされて、一枚ずつ鎧を外していくシーンは、

いつ見ても美しいなあと思います。

ここでより反戦のテーマがはっきりしますよね。

光に縁取られたフィリップはゆっくりゆっくりと現代人へ戻っていきます。

この経験と皆の思いを胸に刻みながら、

彼は2023年の東京に何をもたらすのでしょうか。

シェイクスピアの台詞の力も久々に感じることができました。

戦争の中、犠牲になる人々、板挟みになる人々、戦争の無意味さ等々、

このブランシュの台詞がいつも心に残ります。

 

ブランシュ「月が血に染まっている。

      晴れやかな日よ、さようなら。

      私はどちらに付くべきなのだろう?

      私は両方に付いている。両方と手を繋いでいる。

      だから両軍が激しく戦えば、私は引きずり回され、

      八つ裂きにされてしまう。

      私の夫、私はあなたが勝つように祈ることはできません。

      叔父様、私はあなたが負けるよう祈らねばなりません。

      お義父様、私はあなたの幸運を願うことはできません。

      おばあ様、私はあなたの願いが叶うようにと願いは致しません。

      どちらが勝っても、私は勝った方で負けるのです。

      勝負が始まる前に、私の負けはもう決まっている。」

 

次回は24日(水)に埼玉の大千秋楽Ver.が放送されますね。

楽しみにしています!