風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

映画 かぞく 感想(ネタバレあり)

よく晴れました。

今夜8時 BS1 で「世界七大陸最高峰へ 空撮写真家・山本直洋」という番組で、

語りが小栗旬となっています。

以前大谷選手の番組の語りも担っていましたが、定期的にこういうお仕事がきますよね。

小栗くんの語りはこういう挑戦ものに向いているのかな。

明るく背中を押すような声なのかな。楽しみに見たいと思っています。

 

Amazonプライムに入会して、映画「かぞく」を観ました!

ではここからはネタバレを含みますので、読みたい方だけお願いします。

 

 

 

映画「かぞく」

終始、荒んでいて重苦しい陰鬱な雰囲気が漂います。

できる限り音を削っていて、無音の部分がより虚しさを増幅させるような、

原作者さん、監督さんの思うというか実感した家族の雰囲気は、

こういう雰囲気だったんだなあと思い知らされるような映画でした。

しかしそこにほんの少し光が見えるような、

特に小栗くん演じるタケオのパートがわかりやすかったです。

予告で観たとき、小栗くんのパートはきっと子供を捨てる役なんだろうなあと、

その表情だけで思ったのですが、本当にそういう展開でした。

思い詰めて子供を捨てる決心をして、二人を乗せ車を走らせるタケオ。

海岸に子供たちを置き去りにして、急発進し車を走らせるタケオ。

その表情の一つ一つが胸が締め付けられるようでした。

しかしこの映画はどうしてそうなったのかを詳しくは見せていなくて、

荒れた家の成り立ちや雰囲気や、何より役者さんの演技だけで、

妻を亡くした後、きっとこうだったんだろうなあと、

わからせる手法をとっているので、役者さんへの信頼がなくては、

成り立たなかった映画だと思いました。

でもその車に妻の化身のような綺麗な黄色の蝶が現れて、

対向車と衝突する寸前でタケオを救ってくれます。

タケオにも子供たちにも見えていた黄色の蝶は、

本当は三人にしか見えてなかったようにも思えて、

妻として母として、この三人を救ってくれたように思えました。

そして海岸に置き去りにされた子供たちは、すぐ捨てられたと感じるのは、

これもそれなりの今までがあったんだろうなあと想像させます。

しかしタケオは子供たちの元へ戻ってきました。

タケオと子供たちが抱き合うところは感動しました。

下の女の子は「チャコちゃん」と呼ばれていて、

一目散にタケオに駆け寄って泣きながら強く抱きついていました。

上の男の子(「マモル」と呼ばれていました)は連れ子ということもあり、

きっと複雑な感情があったろうけど、おいおいと泣いてタケオに縋っていて、

やっと子供に戻ったようなお父さんといたいよねという思いが、

とても伝わってきて胸を打ちました。

三人が最初に映像に出た時、なんか実態がないような虚しさに包まれていたのですが、

ここで初めて、お父さんとチャコちゃんとマモルくんと、

(名前で呼ばれたとき、はっとしました。)

家族としても輪郭がくっきりしたというか、よかったなあと思いました。

本当に映像も音楽も削るだけ削ったような、

先ほども書きましたが、役者さんの演技に全信頼を置いている映画だと思います。

小栗くんはその表情と佇まいで、その信頼に見事に答えていたと思います。

海と波としんしんと静かな映画でした。