風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

隣人13号

朝から雨模様です。
昨日、小栗くんが声優初挑戦ということで、ヤフーの動画を見てきました。
たびたび書いていますが、小栗くんの声好きなので、楽しみです。
ん!なかなか元気そうでしたね!よかった。お兄様が隣にいて恥ずかしそうのような、嬉しそうのような。お兄様ほんとに優しそう〜、なんか安心しました。


さてこちらの地方でも、上映されるようになったので、
隣人13号」見に行って来ました!
もうねえ、ホラーも残酷なのも、気持ち悪いのも一切駄目なので、見に行くのをずーっと迷っていたんですが、見に行ってよかった!実際ちょっと目をつぶってしまったこともあったんですが、とてもパワーを感じる骨太な作品でした。
ここからは、しっかりネタバレになりますので、読みたい方だけどうぞお願いします。










映画 隣人13号    井上靖雄 監督作品

                十三   小栗旬
                13号  中村獅童
         
         
全体的に深淵な陰湿な雰囲気です。
この深淵という言葉がずっと頭に浮かんでました。何故こんなに気持ち悪いシーンとか、生理的なシーンが多いのか。それはいじめがそういういじめなんですね。だからそれによって十三はずっと世の中の片隅に追いやられている。ずっと深い片隅です。十三は惨めで可哀想でした。おとなしい優しい青年ですが、澱んでる感じがしました。


そしてその十三を演じる小栗くんは何故あんなに悲しみをたたえた目が出来るんでしょう。それも淡々と。ここがすごい。以前その時その時の呼吸が大事だと彼は言っていましたが、決して熱演ではなくて、でもリアルに感情が伝わってくるんです。目の力が絶大ですね。13号を殺そう?と割れた瓶を持って立っている時、彼の涙に、何故13号を生み出してしまったんだろうか、でも僕が13号を望んでいたんだという彼の葛藤というか悲しみが伝わってきて、本当に胸が苦しくなりました。


新井さん演じる赤井はとても嫌なやつの感じがよく出ていて、いじめる事に対して、何も罪悪感がなく、ただ自分の思い通りにいじめていくというか、小学生の頃も含めて、その暴力(精神的にも、肉体的にも)を見ていると、怒りでざわざわしてくる思いでした。


それで生まれた中村さん演じる13号、さすがの恐さでした。淡々と狂ってるっていう感じです。よく出てくる殺人のシーンは引きの画面で、それはなにげなくバイクが通り過ぎたりして、とても日常というか、リアルさが伝わってきました。十三と13号は二人がすごく絶妙でした。背の高さこそ同じくらいですが、顔も背格好も違うのに、始めはどっちがどっちなのか解らないくらい。それがまた恐さを誘うというか。前にキネマ旬報に今回の撮影監督の方が「小栗くんが素晴らしいと思いました。十三のあの抑えた存在がうまく出せているからこそ、13号が本当に恐ろしく見えるのです。」と書いてみえましたが、二人で一役はとても成功だと思いました。


二人の心象風景のような赤い小屋の場面も秀逸でした。13号を生み出してしまった・・・そして13号と別れるシーンもとても印象的でした。それにしても小栗くんのスタイルは抜群でしたね。少女漫画に出てくるように、足が長くて、前からわかってたことですが、改めて綺麗でびっくりしました。


もともとは十三は善良な人間で、日なたで暮らすはずだった。だから最後にたった一言「ごめんな」を言われたことによって、いっきに小学校の場面に戻って、一緒に卒業写真を撮って、壊されていく「平和荘」 そしてVサインの13号・・・「僕は生まれ出されなくて、よかったよ」というサインに私は解釈したんですが、十三も13号もとても可哀想だったので、このシーンによってすごく救われたというか、十三のことを13号はもう守らなくて済んだというか、 それからエンドロールの「はがれた夜」に入っていった時、涙がこみ上げてきてしまいました。13号愛しいとさえ、思ってしまった。パンフレットの小栗くんの言葉に「ずし〜んときているんじゃないですか」とありましたが、本当にずし〜んと心に響く、メッセージ性のきちんとある丁寧に作り上げられた作品でした。