風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

タイタス・アンドロニカス 感想

今日は雨には降られませんでした。
「タイタス・アンドロニカス」観て来ました!
重かった・・・。でも飽きさせない力強さ、深さがありました。
そして小栗エアロンはもの凄く格好よかったです。
でも軽々しく格好いいと言えないような雰囲気と迫力もありました。
今回、一緒に行った長男(大学生)が小栗くんを観ていて、
「すげぇの、みつけたね」と言ってくれたので、ちょっと嬉しかったです(笑)。
カーテンコールは3回。
2回目まではなかなかエアロンが解けなくて、エアロンのままの小栗くんでしたが、
3回目はほぼ全員のお客さんのスタンディングオベーションの中、
鋼太郎さんに笑いかけられて、小栗くんらしい笑顔が見られました。
拍手しているこちらも嬉しかったです。
タイタス狼のグッズは小さいけれど七色に光るキーホルダー。1500円。
300個限定になっていました。
では、ここからは非常にネタバレになりますので、いつもように小栗くん中心です。
読みたい方だけお願いします。















タイアス・アンドロニカス        作   W・シェイクスピア
                       演出   蜷川幸雄
                       タイタス  吉田鋼太郎
                       タモーラ  麻実れい
                       エアロン  小栗旬
                        さいたま芸術劇場



貫く天井までの真っ白な舞台。真っ白な狼。真っ白な衣装。
しかし糸で表した滴り落ちる赤い血は鮮明に、褐色の肌の赤い衣装も印象的に。
その細身のしなやかな野獣は、まず美しい言葉で、自分の野心を語ります。
あの白い狼を背に。
かと思うと、目の前の悲惨な出来事にほくそえみ、
これ以上ないような憎しみに満ちた冷たい視線。
息を呑むような美しい純白の蓮の葉が立ち並ぶ、
木漏れ日さえ妖しい森に、悪事をそそのかす言葉の数々。
その深い森で、タモーラとの情事。
タモーラはエアロンのその銀色の髪に触れ、頬に触れ、
口づけをし、馬乗りになり、戯れる。
秘密を守るため、軽々と人を殺す彼。嬉々として悪事は続く。
そしてついに、捕まり、鎖に繋がれる。引きずり回され、髪を鷲づかみにされ、
顔を上に向かされ、唾を吐きかけられる。
しかしすぐ吐き返し、悪態をつく。
彼は悪事をすることで自分を支えていたんだろうか。
「祈るなら悪魔になさい、神々は私らのことなどとうの昔にお見限りだ」
彼から発せられる言葉はかけらも省みない。
終わらない復讐の連鎖。一族、人種、誇り、屈辱、陵辱。殺人。
最後に希望の光なのか。幼い少年の叫び声。


小栗くんは相変わらず、背が高くて、大股で歩く姿も格好良く、立ち姿も美しく、
裾裁きも綺麗で、声もよく響いて、そして色っぽかったです。
でも私が一番驚いたのは、吉田さんや麻実さんとのトーンと溶け合っていたことです。
さすがにその領域は高くて、吉田さんはさすがとしかいいようがなくて、
麻実さんの存在感はもの凄かったんですが、
でも小栗くんもちゃんと負けてはいなかったと思うんです。
まだ生来の品の良さがじゃましてしまう部分とか、
可愛さが(だいぶ抑えられていましたが)少し見えてしまう部分もありますが、
でもエアロンの理知的な部分とか、しなやかさ、魅惑的な部分、
そして小栗くんが言っていた悪役ならではの格好良さは、
とてもよく出ていたと思います。
物語はとても悲惨なもので、しかし今でも通用するような、
民族間とか、一族とかの終わらない争いごとを描いていて、
400年前にこれを書いていたシェイクスピアも凄いなあって思ったんですが、
その物語を美しさと迫力で、魅せてしまう演劇の素晴らしさというか、
これが映画だと、とても凝視出来るものではなかったと思うので、
演劇の力も改めて感じることとなりました。
まだ3日目で、このクオリティの高さだったので、
これから小栗エアロンも舞台自体もどう進化していくのか楽しみです。
パンフレットはそれぞれ、半ページがすべて英訳になっていて、
ああ、イギリスに行くんだなあって思いました。