風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

あなたを見るまでこの目が見る昼はすべて夜

久しぶりに晴れた一日となりました。
さて世の中は母の日ですが、私は5月4日の「タイタス・アンドロニカス」の観劇で、
母の日のプレゼントの前倒しをしてしまったので、いつもの日曜日です(笑)。
この間買った、「シェイクスピアソネット」154篇を読みました。
よく「詩が好き」というと、「どのように読むの?」と聞かれることがあるんですが、
適当に読みます(笑)。今回みたいに最初から順に読む場合と、
パラパラめくったところを読む場合があります。
シェイクスピアソネット」は、やはり戯曲のように、
美しい言葉と、それはそれは情熱的。
でも格調高く、美に対しての賛美と執着と、その美しい青年貴族への、
世界を敵にまわしても構わないほどの莫大な愛そして不安。
自分がその美をどのように書きとめておくべきか、との葛藤、
他に嫉妬、絶望、人間らしい感情の数々ですが、
詩はひとつひとつ美しく、陶酔します。
ではその情熱的な詩を紹介しますね。
あの方に置き換えて読んでみてもいいですよ(笑)。


ソネット43番


私の目はしっかり閉じるほどよく見えるのです、
昼のあいだは見ているようでなにも見ていないけれど。
眠ると、夢の中で、あなたを見るのです、
闇に明るくひそかに輝きだすこの目で。
するとあなたの面影が夜の影を明るくするのです、
その実体が実際に現れたらどんなにしあわせか。
明るい昼に昼より明るい光が現れるのです、
あなたの面影は見えない目にも輝くほどだから。
生き生きとした昼の光の中であなたを見たら
(くり返し言いますが)私の目はどんなに喜ぶことか、
なにしろ真夜中、あなたの美しい虚像が
眠りに沈むもの見えぬ目に現れるだけだから。
 あなたを見るまでこの目が見る昼はすべて夜、
 夢があなたを見せるかぎり夜は明るい昼なのです。