風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

お気に召すまま 2回目 感想

綺麗に晴れました。
「お気に召すまま」東京公演、今日が千秋楽ですね。
とうとうここまできましたね。無事迎えられることを祈っています。
まだ地方公演があるとはいえ、ドラマと並行しての30公演は、
本当に大変だったと思います。小栗くん自身もいろいろ思うところがあるでしょうね。
千秋楽、行かれた方、よかったら、その様子を聞かせてくださいね。
そして私は昨日「お気に召すまま」2回目を観に行ってきました!
28日のマチネです。2回目は、1回目より後ろの方の席だったので、
ちょっと落ち着いて見ていられました(笑)。ユースケさんが観にいらしてましたよ。
そして今回はシェイクスピアの目線が優しいなあって観てました。
あれだけ身分の差がある世の中だったのに、
主従関係にも思いやりが溢れ、貧しい中にも、そこに生きる喜びがきらめき、
恋することはわけへだてなく、
すべての人たちに、与えられる特権として描かれている。
「お気に召すまま」はストーリーで感動する物語というよりも、
散文詩のように、そこに煌めく素敵な台詞に感動する物語かなって思います。
そしてやっぱり戯曲は、役者さんが語るということによって、
その声音が、息遣いが、感情が加わって、なんて素晴らしく心に響いてくるでしょう。
登場する皆さんが、すべて生き生きと美しくそこに息づいていました。
今回のカーテンコールはオールスタンディングオベーションだったと思います。
いつもの小栗くんらしいお辞儀。
会場全体から鳴り響く皆さんの拍手を受け止める、真摯な瞳。
噂の投げキッス(笑)は、まず成宮くんがスカートをめくっているときに、
大きく会場全体にいきわたるように、手をゆっくり伸ばして投げキッス、1回目。
最後に舞台奥へ下がるときに、
おちゃめに、四方八方に高速投げキッス(笑)、5、6回?
そして最後の最後まで、姿が見えなくなるまで、
高々と右手をあげて手を振ってくれた後姿が、
なんだかとっても印象的で、心掴まれました。
後姿っていうところが小栗くんらしいかなって(笑)。
では、ここからはまたも小栗オーランドー中心で、
感想を書きたいと思います(笑)。
ネタバレを含みますので、読みたい方だけお願いします。












お気に召すまま        作 W ・ シェイクスピア
                  演出  蜷川幸雄
                  ロザリンド  成宮寛貴
                  オーランドー 小栗旬


“喜劇になると俄然ヒロインが活躍するのがシェイクスピア作品です。
男と女が対等か、ヒロインが男そこのけの大活躍する作品が多いですね。
でも蜷川さん演出の「お気に召すまま」では、小栗旬君のオーランドーが、
戯曲で読んだ以上に生き生きと立ち上がってきて、
この役の大きさと深さ、魅力を実感させてくれました。”
これはパンフレットの中にあった、戯曲と俳優というテーマのところに、
翻訳家の松岡和子さんが書いてくださった言葉です。
オーランドーは一見王子様的役柄と思われがちですが、
前半部分で、オーランドーの骨格がよく現れるようなシーンがいつくもありますね。
兄との確執。老僕アダムとのやりとり。
アダムが力つきてしまいそうになるとき、優しく声をかけ、背負っていくオーランドー。
食料を奪いに行き、かえって優しく迎えられ、戸惑いと嬉しさと、
それから前公爵にサー・ローランドーの息子と分かったとき。
オーランドーは虐げられていて、でも気高く、優しく、凛々しく、
そして寂しさもあり、それらのオーランドーが、
しっかり立ち上がってきてないと、ロザリンドがあれだけ夢中になるに、
値しない人ということになってしまいます。
そのシーンの数々が、とても感動しました。深く伝わってきました。
オーランドーは真っ直ぐで、誠実で、純粋で。
小栗くんのオーランドーはとても魅力的だと思います。
後半部分は、楽しいラブコメディ。ますますコメディ色が濃くなっていました。
ちゃっかりうっかりな可愛らしいロザリンド。低血圧な笑いをとるシーリア。
振り回されたり、ふと我に帰ってみたり、やっぱり可愛いオーランドー。
そうそう、今回の席は前回よりは後ろだったんですが、
真ん中の通路の出入りがよく見える席で、
例えばレスリング対決、相手を睨みつけるオーランドーの鋭い眼差しとか、
その黒いタンクトップ姿で現れたときはため息が漏れてました(笑)。
小さな花束を持ってロザリンドに会いに行くとき、
その花束を、愛しそうに嬉しそうに整えている、可愛らしいオーランドーとか、
それからロザリンドに腕を組まれて、通路を上ってくるとき、
それはそれは綺麗な笑顔で、こんなに綺麗に笑う人だったかなあとか、
もうね。笑顔にやられちゃいました(笑)。
そして今回は本当に横顔の美しい人だなあって思いました。
近くを横顔で通ることが多かったので(笑)。
あのラインの美しさと言ったら、なだらかな眉と切れ長の目、
整った鼻梁、形良い唇、美しい顎の線、首筋。
何度見ても、はっとしてしまいます。
その横顔で二人のキスシーンも素敵でした。甘く優しく・・・。
いつも思うんですが、小栗くんのキスは、ほんのほんの少し躊躇する一瞬があって、
するとロザリンドの方から唇が重なってきます。
それからロザリンドが、オーランドーのその唇についた口紅を、
本当に優しく名残惜しそうに、彼女の指で、拭ってあげるんですよ。
そこがまた甘くて、とても素敵な二人でした。
そういえば、婚礼が決まってから、いろいろなことがどんどん解決していくんですが、
オーランドーにとっても、よかったねっていうことがあると、
ロザリンドが、オーランドーの頬へ、自分の手の甲をぽんって触れさせるんです。
そこがまた可愛くて、そうしてるロザリンドも、そうされているオーランドーも、
二人の仲に、妬けちゃいます(笑)。
そして今回ふと思ったのは、蜷川さんは小栗くんがオーランドーって決まってから、
あの舞台装置を考えたのかなって(笑)。
あの正装をして、木に佇むオーランドーは、スラッと背が高く、細身で、その長い足と、
何度観ても、一枚の絵のように美しく、切なく、心奪われます。
4人での告白シーンは、オーランドーの瞳に光るものがありました。
可愛らしいダンスはやっぱり可愛らしかったです。
ときどき抱きしめられて、
白いウエディングドレスに埋もれてしまいそうになるオーランドー。
深く深く木漏れ日きらめくアーデンの森に、確かに存在していた、
それは美しく素敵なオーランドーでした。
さあ、全国の老若男女?のロザリンドのために、毎夜、語りにきておくれ。
その甘い声で、甘い眼差しで、甘い想いを・・・。
オーランドー「ここに懸かってろ、俺の歌、俺の恋の証人だ。
        三つの冠を戴く夜の女王よ、見ていてくれ、
        その清らかな目で、蒼ざめた天の高みから、
        あなたに仕える美しい狩人、俺の運命を支配する人の名を。
        ああ、ロザリンド、この木々が俺の手帳だ、
        その幹に思いの丈を彫りつけておこう、
        そうすれば、この森に住むすべての者の目が、
        いたるところであの人の美徳の証を見ることになる。
        走れ、走れ、オーランドー、木という木に刻みつけるのだ、
        たとえようもなく美しく清らかなあの人の名を。」