風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

風が強く吹いている

暑さは続きます。
小栗くんの携帯サイト、よく更新されていますね。
昨日は2回更新があって、写真がとってもチャーミングでした(笑)。
そのままドレスを着ていただきたい(笑)。
姜くんがあの背の高さで、女役(恋の骨折り損)を演じていたので、
小栗くんでもいけると思うんですけど。
その「お気に召すまま」、公式ブログに、マナーについて書かれていましたね。
こういうことを書かなくてはいけないことが、悲しいことですよね。
特に通路での妨げになることは、とても危険だと思います。
役者さんは、もう役に入っているので、下を見て歩いていませんし、
物凄いスピードで駆け上がるときもあるので、
よくない状況が続いて、もし演出変更にでもなったら、
これからご覧になられる方も、とても残念だと思います。
そう思うと、小栗くんが前、ブログに書いていた、
写真を撮られた話は、舞台中のことでしょうか。
それも信じられません。まずカメラを構えていること自体で、
舞台を観る気がありませんよね。
どうかマナーを守られて、皆さん、怪我なく無事に、
公演が行なわれますよう、願っています。


さて、小栗くんが先回の「オールナイトニッポン」で紹介していた、
三浦しをんさんの「風が強く吹いている」を読んでみました。
コメント欄で、cannaさんにも薦めていただいたので(表紙も素敵でした)、
いつも短編とか、詩集とかしか読んでいなかったので、
久々の長編小説でしたが、とても面白かったので、2日で読めました。
すごくいい本でした。今、清々しい気持ちでいっぱいです。
小栗くん、ありがとう!ですね(笑)。
何度もクスッと笑ったり、何度も涙して読みました。
とても読みやすくて、映像が浮かびやすい文章です。
私は、蔵原走=小栗旬で読んでしまったのですが(笑)、
映画化も充分ありえる小説だと思います。
そのときは是非、蔵原走(クラハラカケル)役は小栗くんで観てみたいです。
走は、名前どおり走るために生まれてきたような子で、
やはりそういう選ばれた子はいるんだなあとか、
そこも余計に小栗くんに重なったんですが、
それはその子なりの苦しみも悩みもありますが、
でも皆は、その子の輝くのを待ち望んでいるのだということがよく分かります。
それでは、少し感想を書こうと思います。
内容に触れますので、読みたい方だけお願いします。













風が強く吹いている           三浦しをん


物語は、寛政大学4年の清瀬灰二(キヨセハイジ)が、
自分の理想を体現するように美しく走る、蔵原走(クラハラカケル)に出会い、
下宿の竹青荘に半ば強引に住まわせるところから始まります。
その清瀬には「夢と野望」があり、それは「箱根駅伝」に出場することでした。
走が入ったことで、ちょうど10人になり、そのオンボロアパート、竹青荘に住む10人で、
その夢に挑むことになります。
個性的な住人は、清瀬に脅されたり、奮い立たされたり、
走の屈折や過去、住人の身体能力と精神力の限界などの、壁が立ちはだかる中、
ついに「箱根駅伝」」のスタートラインに立つこととなります。
それはより高みへと続く道でした。


私は運動が苦手なんですが、でも、走るってこんなに素晴らしいんだって思いました。
才能のあるもの、ないもの、努力ではたどりつけないこと、
でもその人なりの一生懸命なこと、10人それぞれが、
とてもキャラクターがしっかりしていて、ちゃんと光は当てられていて、
清瀬と、走がメインなんですが、いろいろな到達点があるんだなあとか、
それが無理なく伝えられて、どんどん引き込まれていきました。
やはりその10人がとても愛しい人たちなんです。
漫画ばかり読んでいて、一番走ることに遠い「王子さん」、
人のいい外国人留学生の「ムサ」、明るい双子の「ジョータ」と「ジョージ」、
地方出身の紳士的な「神童」、司法試験に合格している「ユキ」、
煙草の煙が蔓延する部屋に住む「ニコチャン」、クイズ番組が大好きな「キング」、
そして走るために生まれてきたような「蔵原走」、皆を先導した「清瀬灰二」
まるで素人同然のような人たちもいる中、渋々練習していて、
でも希望が見出されてきて、そうなると、ついに、
箱根駅伝」のスタートラインに立てたときは、身内の応援団のように、
涙が出てきてしまいました。
そして「箱根駅伝」を走る中、1区ごとに、彼らの人となりがよりくっきりしてきて、
その1区ごとに心が温かくなりました。
でもやはり清瀬と、走のくだりは、よかったです。
清瀬が走と出会ったとき、
“もしもこの世に、幸福や美や善なるものがあるとしたら。
俺にとってそれは、この男の形をしているのだ。”
巡り会うべくして、巡り会ったふたり。
才能を持て余して、光の入り口さえ見えなかった走。
怪我をして、陸上選手としての限界を知ってしまった清瀬
清瀬が自分のこともありながら、とても広い心で、しかも細やかに、
走を、迷路からさりげなく出してくれます。
他の住人も応援してくれる人たちも、温かくて、
でも押し付けがましくなくて、自分の個性をつぶさず、
でも仲間を思う気持ちは人一倍で、スポーツならではの残酷さも、潔く認めて、
やっぱりスポーツっていいなあって思いました。
箱根駅伝」なので、時間表示も刻々と出てくるので、どきどきしながら、読みました。
きらめく言葉もたくさんありました。
9区を走る、緊張感を隠せない蔵原走へ清瀬の言葉。


清瀬の声は澄んで深い湖のように、走の心のなかで静かに潤う。
「きみに対する思いを、『信じる』なんて言葉では言い表せない。
信じる、信じないじゃない。ただ、きみなんだ。走、
俺にとっての最高のランナーは、きみしかいない」”


清瀬が自分の足が再起不能になるかもしれないのに、10区を走り、
もうすぐゴールが見える地点で。


“ゴールで走が泣きそうな顔をしている。
悲鳴と絶望を抑えたその顔は、怒っているようにも見える。
ばかだな、走。俺は大丈夫だ。
必ずそこまでたどりつく。強く吹く風が教える。俺は走っている。
俺の望んだとおりの走りを、俺は今体現している。
すごくいい気分だ。これほどの幸福はない。”


とても気持ちのいい本でした。
そして実は一番感情移入してしまったのは、
「王子さん」です(私も運動が出来ないので・笑)。
どうか頑張ってって、思いました(笑)。