風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

文学作品の映画化

久しぶりに晴れました。
ままりんさんから教えていただきました(ありがとうございます)。
私も見ました、今朝の「めざましテレビ」。「踊る〜」の新キャストが、
発表になりました・・・が、後姿と足だけ出ましたよね?
あの膝下の長さは彼に違いない(笑)。スーツ姿ということは、
室井さんの方の部下とか?毎回「狼が来たぞ〜」って言われているような、
そんな感じの「怪盗愛子」ちゃんでした(笑)。


さて気分を変えまして(笑)、
いつかは、小栗くんに文学的作品に出てほしいということで、
今まで、邦画で、文学的作品でよかったのは、どんな映画だったかなあと、
考えていて、夏目漱石の「それから」を思い出しました。
松田優作さん主演で、藤谷美和子さん、小林薫さんが出ていました。
ある1シーン、藤谷さんが走って松田さんのところに来て、
そのまま息を整えるために、何のためらいもなく、
すっとその花を抜いて、花瓶の水を飲むシーンが、
あったように覚えているのですが(きっとあったと思う・笑)、
そのシーンが印象的でした。
この女性の色っぽさ、奔放さ等、いろんなことが伝わってくるシーンでした。
そして市川崑監督作品、谷崎潤一郎の「細雪」も見ました。
岸恵子さん、吉永さんが出演された作品ですね。
美しい作品でした。四姉妹、それぞれが譲れないところというか、
秘めた強さというか、そういうものが感じられて、余計に美しかったです。
明治とか大正の時代がいいですよね。昨日のコメント欄で、
mimosaさんが三島由紀夫に挑戦中ですと書かれていましたが、
私も三島由紀夫が好きで、若い頃、小説をよく読んでいました。
戯曲は舞台で、たびたび演じられますよね。
小説は妻夫木くんで、「春の雪」が映画化され、「午後の曳航」は海外で、
映画化されたと思います。小栗くんが演じるならということで、
私のお薦めは2つ、これはドラマになったこともあったと思いましたが、
「青の時代」、裏表紙の言葉はこんな感じです。


「青の時代」  三島由紀夫
地方の名家に生まれた川崎誠は、父への反感を胸に徹底した合理主義者として、
一高、東大へと進むが、ある日大金を詐欺で失った事から今度は自分で、
金融会社を設立する。それはうまく行くかに思われたが・・・。
戦後、世間を賑わした光クラブ社長の自殺に至る波乱にみちた短い生涯を、
素材にして、激しい自己反省癖と自意識過剰の異様で孤独な青春を描いて、
作者独自のシニシズムに溢れる長編。


ものすごく繊細で、しかし傲慢なインテリの青年というのが、
魅力的だと思います。
もうひとつは、「禁色」、裏表紙の言葉です。


「禁色」  三島由紀夫
一生を女に裏切られてきた老作家檜俊輔は、
美青年南悠一が女を愛することのできない同性愛者であることを知り、
この青年の美貌と肉体美を利用して、恨み深い現実への復讐を企てる。
俊輔の計画は、かつて自分を苦しめた女たちを破局に追いつめることに、
成功するが・・・。
男色を素材にして、心理小説の世界に、「ルネッサンス的ヘレニズム」の理想を、
造型化した異色長編。


これは凄く長編なので、脚本にするのが大変だと思いますが、
もちろん美青年南悠一役で(笑)。でも小栗くんがOK しないでしょうね。
しかしアメリカでアカデミー賞をとるには、同性愛者か、麻薬患者の役をやると、
とりやすいって聞いたことがあるので(冗談半分だと思いますが・笑)、
日本ではわかりませんが、是非、若く美しいうちに、
こういう役にも挑戦してほしいです。
では最後に、その南悠一くん登場シーンを。


「禁色」より  三島由紀夫
それは愕くべく美しい青年である。ギリシャ古典期の彫像よりも、
むしろペロポンネソス派青銅彫像作家の制作にかかるアポロンのような、
一種もどかしい温柔な美にあふれたその肉体は、
気高く立てた頸、なだらかな肩、ゆるやかな広い胸郭、
優雅な丸みを帯びた腕、俄かに細まった清潔な充実した胴、
剣のように雄々しく締まった脚をもっていた。
波打際に立止まったその青年は、岩角に打ちつけたらしい左の肘を、
しらべるために、やや身を捩って右手と顔を、左手の肱のほうへうつむけた。
すると足もとをのがれてゆく余波の反射が、そのうつむいた横顔を、
俄かに喜色をうかべたかのように明るませた。
俊敏な細い眉、深い憂わしい目、やや厚味を帯びた初々しい唇、
これらが彼の稀な横顔の意匠であった。そして見事な鼻梁は、
その引締まった頬と共に、青年の顔立ちに、気高さと飢えのほかは、
まだ何も知らない或る純潔な野性の印象を与えていた。
それはさらに、暗い無感動な眼差、白い強烈な歯、すずろに振られる腕のものうさ、
躍動する身のこなしなどと相俟って、この若い美しい狼の習性を際立たせていた。
そうだ、その面差は狼の美貌であった。


素晴らしいですね〜。惚れ惚れするほどの美青年だと思います(笑)。
“足もとをのがれてゆく余波(なごり)の反射”〜溜息の出るような表現で、
うつむいた美しい横顔が目に浮かぶようです。