風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

世にも若々しい偏見にみちた二人の会うべき時刻

小雨が降っています。
にゃおさんから教えていただきました(ありがとうございます)。
笠原秀幸くんのツイッターに小栗くん、小栗くんのお兄様とともに、
4/9に写した写真がUPされてます。
お兄様の洋服ブランドの展示会に行ったようです。
笠原くんのブログからツイッターに飛べると思います。〜とのことですが、
すみません、ご紹介するのが遅れてしまったので、
お兄様のブログ、4/9のところに、やはり小栗くん、笠原くんとの、
展示会での写真がありますので、見てみてくださいね。
いつもながら、仲の良いご兄弟です。


そして「わが家の歴史」、3夜見ました。
ときどき面白くて、ときどき懐かしくて、ときどき感動して、
ついつい見てしまうようなドラマでした(笑)。
小栗くんの高倉健は、学生服も似合って(まだいけますね・笑)、
朴訥な感じがよく出ていましたね。
小栗くんはこうやって、どんな雰囲気にもよく溶け込むことができるので、
どうもこの頃、イケメンの代表格のような、どんなアンケートにも、
名前が出てくるような、宣伝の先頭に立たされるような、
なんだかポップなイメージなのですが、
結構どんな役にも溶け込んで、イメージも色も消すことが出来る人だと思うので、
おそれず?(笑)どんどん使っていただきたいなあ、なんて思いながら見てました。
そして私は大泉さん演じるつるちゃんが好きでした(笑)。
それからなんといっても、一応、3日間、録画していたので、
小栗くんの味の素の新CM が録画できたことが嬉しかったです(そっち?笑)。
高橋努くんのやりとりも楽しく、明るく爽やかなCM でしたね。


でもこのドラマの中で、私が個人的に大注目だったのは、
あの松本くん演じる義男が、東大の「太陽グループ」(社長役、岡田くん)という、
怪しい組織に入っていたこと。
これは、2010年2月10日のブログ、小栗くんにこんな文学作品に出てほしいと、
書いたときに例をあげた、三島由紀夫「青の時代」のモデルになった、
実際にあった事件です。
実際の事件は高利金融会社「光クラブ」を経営していた東大法学部三年の青年が、
物価統制令銀行法違反に問われ、多くの債権者、債務を残して挫折、
27歳の若さで自殺に至るという(「青の時代」あとがきより)事件なのですが、
この青年をモデルに、三島由紀夫が「青の時代」という小説を書いているのです。


地方の名家に生まれた川崎誠は、父への反感を胸に徹底した合理主義者として、
一高、東大へと進むが、ある日大金を詐欺で失った事から今度は自分で、
金融会社を設立する。それはうまく行くかに思われたが・・・。
戦後、世間を賑わした光クラブ社長の自殺に至る波瀾にみちた短い生涯を、
素材にして、激しい自己反省癖と自意識過剰の異様で孤独な青春を描いて、
作者独自のシニシズムに溢れる長編。


今回は、岡田くんがその役をやっていましたが、小栗くんも似合うと思うんですよね。
記憶がおぼろげなのですが、これを少し題材にして、昔、根津甚八さんが主役で、
NHKのドラマがあったような気もするのですが、
いろんな記憶がごちゃまぜになっているかもしれません(笑)。
とにかく今は健全な肉体に健全な精神の役をやっているようなので、
次回は、不健全な感じで、不健全な精神の役をやってほしいなあって、
個人的には(笑)、思います。
では、その「青の時代」から少し。


こうして世にも若々しい偏見にみちた二人の会うべき時刻が迫った。耀子のノックがきこえる。耳にそそがれた酒を味わうように、誠の耳はこの音ないに酔った。入ってきた耀子は部屋が真暗なのにおどろいた様子だったが、瓦斯の焔の前に向かいあって坐ると、おとなしく書類をさし出した。タイプライタアの細字は瓦斯の火明りで読むことができない。読むともなげにじっと紙面をみつめている誠の固苦しさを耀子は手を束ねて見ていたが、やがてこう言った。
「その書類でよろしゅうございますか」
そこで誠は、ええ結構と答えた。耀子が重ねて言った。この言葉には女に甘い奴が母性的とでも呼ぶであろう思い上がった微笑が添えられた。
「そんな明りでお読みになれて?」
この媚態と挑戦の巧みな取り合わせが誠を怒らせた。
「あんたは不真面目だな」と誠は言った。
「どうして、あたくしが」
「不真面目だよ。あなたは人生とちゃらんぽらんな関係しか結ばない。あなたはせいぜい人生を馬鹿にしているつもりでいるが、人生が悪戯っ子をゆるすように微笑を以てあなたをゆるしていることに気がつかないんです。そういつまでも人間を愛さないで生きてゆけるものじゃありませんよ。愛される危険を避ける道は、愛することのほかにはないからね」
「誰も人生と確かな関係なんか結べる人はありませんわ」と耀子は気持のよい率直さで言葉を返した。
「社長さんだってそんなものをもってはいらっしゃいません。」


この時代のせいなのか、三島氏のせいなのか、日本語が綺麗ですね。
そうそう、私は明治、大正、昭和初期とか、そのあたりの時代に生きる小栗くんを、
見たいんですよね。今までの作品でいくと「古都」は、そんな雰囲気がありましたね。
そんなことを考えながら、「わが家の歴史」を見ていました(笑)。