風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

美しさ 甘さ 可愛さ 華麗さ 清潔感 透明感

晴れました。朝晩は少し涼しくなりましたね。
今日発売の「MEN'S NON-NO」「MEN'S JOKER 」です。
【 amazon.co.jp MEN'S NON-NO 】
【 amazon.co.jp MEN'S JOKER 】
まだ本屋さんへ行っていないので、内容はわからないのですが、
「MEN'S NON-NO 」は表紙から、あのuno のCM についてですよね。
見てみてくださいね。


そして「蜷川幸雄の稽古場から」という本が出ます。
発行元のポプラ社さんより。

【 ポプラ社 新刊ニュース 蜷川幸雄の稽古場から 】

多くのスターを鍛えてきた 演出家の秘密を解き明かす
蜷川幸雄の稽古場がどのようなものであったのか、
彼の薫陶を受けたスターたちへのインタビューから、
世界の演出家の秘密に迫る。巻末に蜷川自身へのインタビューも収録。
【語り手】
蒼井優小栗旬尾上菊之助勝地涼鈴木杏
寺島しのぶ成宮寛貴/長谷川博巳/藤原竜也松たか子


アマゾンではこちら。

【 amazon.co.jp 蜷川幸雄の稽古場から 】


この10人の中に入れて光栄ですね。並びがあいうえお順だなと思いつつ(笑)、
本当に蜷川さんには、小栗ファンとして、感謝してもしきれないほどです。
まだまだ無名に近い頃から、目をかけてくださって、期待してくださって、
鍛えてくださって、その役としてはもちろんですが、俳優としての、
これからを考えて、力を注いでくださって、本当に本当に感謝しています。
そういえば「時計じかけのオレンジ」が、九州でも上演されますが、
九州も、愛知と同様、「間違いの喜劇」以来かなと思います。
当時、その「間違いの喜劇」の宣伝する番組が九州地区だけで、
放送されていて、それがときどき書いていますが、
RKB制作「メイキング・オブ・間違いの喜劇」です。
この番組に、小栗くんと蜷川さんの関係がとてもよく描かれています。
50分ほどの番組でしたが、私もご厚意で見せていただいたのですが、
本当に、1本のドキュメンタリー番組としても、よく出来ていて、
今日また観てみたのですが、あらためてそう思いました。
では今日観た感想も交えて、その当時の感想と合わせて、
少し書き出してみますね。


≪メイキング・オブ・間違いの喜劇≫
約50分ほどの、とても内容の濃い番組でした。
第一に思ったのは、こんなに純粋な空間があるんだということ。
邪心も掛け値もなくて、いかにいいものを作るかに、
その舞台にかかわる全ての人々が、全速力で真摯に向かっていく。
蜷川さんの言葉はいつも本物で、心に響いてきます。
ただ、喜劇ということで、ぴりぴりはしていなくて明るい感じです。
まず、小栗くんは若者特有の言葉のイントネーションを、注意されていました。
蜷川さんから、「テレビってそんなにやさしいんだ」と皮肉られたりもしますが、
「他の人に聞いてごらん」という語尾が優しかったり。
側にいた瑳川哲郎さんが明るい笑顔で、身振り手振りで教えてくださったり、
舞台の片隅にいる小栗くんを、吉田鋼太郎さんが見つけて、
そっと近づいて教えてくださったり。そのときの小栗くんの鋼太郎さんを見る表情が、
少し不安げなでも無垢な目で・・・。
でも本当に彼は、まわりの人たちに愛されて、
大事にされているんだなあって思いました。
パンフレットにもあった、
蜷川「おれは爺やになった気分だよ」
小栗「そうだね、爺や(わざと優しげに)」
蜷川「うっせーやッ」
このシーンは小栗くんは蜷川さんのすぐ隣で、パイプ椅子を揺らせながら、
言っています。こちらがドキドキします(笑)。
蜷川さんが遅刻してきたときは、小栗くんが鬼の首でも取ったかのように、
大きな声で笑顔とともに、「おはようございます!」
蜷川「おめえのおかげで狂ったんだよ」
小栗「何がですか。逆切れ?」
親しいゆえのやり取りで、微笑ましかったです。
この番組を見てると、これが小栗くんのカラーなのか、末っ子らしい、
甘えた可愛い部分もあるのですが、それがべたべたしていないんですよね。
本人がシャイな部分もあるからかもしれないけど、
だから皆に好感を持たれるのかなあって思いました。
走りまわってから、力強い台詞を言うシーンでは、息があがってうまく言えなくて。
蜷川「俺の勝ちだな」
小栗「はい、負けました」
もう一回と食い下がる小栗くんに(くやしさいっぱいの目で)
蜷川「明日にしよう」
小栗「ヤダ」
蜷川「罵倒のエネルギーがないんだよ。俺の体にはうずまいているわけ、
    ドブみたいに(会見で言ってた言葉「小栗にドブを背負わせる」)。
    それが小栗が乗り越えなきゃならない罵倒のエネルギー。
    相手を巨大なものにするってことだな。そこんとこちゃんと勝負しないと、
    世界レベルにいかないって俺は考えてる。
    だから小栗にはそこまでいってほしいわけだ」
今日見ても、このシーンはなんだか胸がいっぱいになってしまいました。
本当にまだ「花より男子」1が終わったくらいで、それほど知名度もなく、
その青年にこれだけの言葉をかけてくださって、
その言葉を聞いている小栗くんの表情がまた何ともいえず、
嬉しさと重さが交錯するような表情で、心掴まれました。
蜷川「やっぱりあの基礎的なことをやってないと、その表現者が、
    長生きしないと思うんだよ。生き残っていけないと思うのね。
    サブカルチャーのさ、瞬間的な面白さとか、
    表層を食いちぎりながら走っていく面白さはあるんだけど、
    どうしてもあの観客とかメディアに、食い荒らされて捨てられるでしょ。
    そうならないためにはさ、カルチャーをさ、ちゃんとやっていってさ、
    サブカルチャーだよって、うそぶきながらやるくらいの精神を、
    身につけてくれたらいいなあと思ってる。基礎的栄養を与えてるんだね」
今日見て、この言葉が一番ズシンときました。
これは2006年3月頃、放送されたものだと思うのですが、
もう未来を予感しているような、まさに観客やメディアに食い荒らされて、
捨てられないために、基礎的栄養を与えてくださって、
大事にしかも強く鍛えて育ててくださったんだなあと思いました。
そして
“そうならないためにはさ、カルチャーをさ、ちゃんとやっていってさ、
 サブカルチャーだよって、うそぶきながらやるくらいの精神を、
 身につけてくれたらいいなあと思ってる。”
この言葉が小栗くんのことをよくわかってらっしゃるなあって思うのです。
特に、“サブカルチャーだよって、うそぶきながらやるくらいの精神”
そういう軽やかさは、小栗くん独自のものだと思うんですよね。
小栗くんのことをよくわかった上で(きっと本人より・笑)、
そういう言葉を投げかけてくださって、とても嬉しいなあって思います。
そして小栗くんの言葉。
小栗「今回、蜷川さんが僕に求めたものは、ある種の様式性ということだと、
    思うんですよね。今回の「間違いの喜劇」だったり、
    シェイクスピアの世界の様式性というものを身体に叩き込めっていうことから、
    スタートしてたんだってことだと思う。それに対して、
    自分の中で納得いく状態に至るまでの時間がかかってしまったので、
    やっとまだ足りない部分もあると思うけど一応スタートラインに、
    立て始めたのかなって感じですね。」
一生懸命ついていこうとする真摯な謙虚な小栗くんの言葉だと思います。
他にも様式性についての蜷川さんの言葉や、喜劇について、
言葉そのものの大切さ、腹話術を教えてもらっている過程、
フリージャズのような即興演出について、外国に作品を持っていくにあたって、
衣装について、舞台装置について、音楽について、スタッフについて、
無名の俳優さんについて、高橋さんの笑顔、内田さんの挑戦、
盛り沢山の内容でした。そうそう稽古見学会の様子も映し出されて、終わったあと、
タオルを首にかけながら、グレーのTシャツを無造作に着て表れる小栗くんとか。
小栗くんは全然ラフな雰囲気(頭、ボサボサとか、足をボリボリ掻いていたりとか)
だったり、コツンと蜷川さんに頭をたたかれる小栗くんの笑顔とか、
悩める、焦る表情、ふとした美しい横顔、ハッとするような白い肌、茶色の髪、
負けず嫌いな瞳、白いタンクトップから見えるほどよく筋肉のついた綺麗な肩、
鎖骨、腕、ひときわ高い背、
やっぱり目をひく、綺麗な男の子だなあって思いました。
それとともに、彼の向かっていく攻めていく気持ちの清々しさに、
感動しながら見ていました。
最後は初日、舞台へ向かう役者さんたち、走りぬけるアンティフォラス。
それから終わった後、蜷川さんから「よかったよかった。よく笑ってもらえたな」と、
言葉がかかり、蜷川さんに抱きしめられながら、背中をポンポンとされながら、
そのときの小栗くんの笑顔が最高に素敵でした。
小栗くんは努力の人なんだなあとか、まわりの彼への期待のかけ方と、
こんなにも温かく、時には厳しく彼を育てようとしている思いとか、
こうやって「間違いの喜劇」は出来上がって、私たちに幸せをくれたんだって思うと、
今見ても、胸がいっぱいになりました。
小栗くんの参加した蜷川さんの舞台は、
ハムレット」「お気に召すまま」「間違いの喜劇」「タイタス・アンドロニカス」
カリギュラ」「ムサシ」
いずれも小栗くんの美しさ、甘さ、可愛さ、華麗さ、清潔感、透明感が、
いろんな形で現れていると思うので、
それは小栗くんにしかない大きな魅力だと認識して、
これからも蜷川さんの教えを胸に、頑張っていただきたいと思います。