風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

第九交響曲

晴れました。少し暖かい日になりました。
もう年末で(早い!笑)、大掃除もしなきゃとか、
主婦としてはいろいろ忙しくなってきますが、
年末になると聴こえてくる音楽がありますね。
そうです、第九です。
第九、いろんな映画にもドラマにもアニメにも使われて、
聴くたびに、ベートーヴェンで凄い!って思ってしまうのですが、
小栗くんで第九といったら、やはり「時計じかけのオレンジ」です。
時計じかけのオレンジ」はDVDにならなかったので、
もう自分の記憶の中にしかないのですが、
大千秋楽後、お友達に手伝っていただいて、
記憶を辿りながら書いたその物語の一部を、
もう一度、書いてみたいと思います。
一応、思い出しながらの全篇は、
【 風色の椅子 2011年3月1日 時計じかけのオレンジ その1 】
【 風色の椅子 2011年3月2日 時計じかけのオレンジ その2 】で、
読めます。ただ記憶に頼っているので、
間違っているところ、あやふやなところもあると思いますが、
そこはご容赦願って、
では今日は、その一部、第九が流れ、アレックスが蘇ったところから、
もう一度、書いてみようと思います。


時計じかけのオレンジ 


アレックスは一命をとりとめた。意識が戻るのを待つ。
アレックス、意識が戻り、早速傍についていたナースを誘惑。
ブラノムがテストをしてなおわかる、完全にもとの邪悪なアレックス降臨。
包帯ぐるぐる巻きはちょっと可愛い。
でも瞳には悪の炎が燃えて、恐ろしさが蘇る。
内務大臣が、手のひらを返したように、媚を売り、
政治に利用しようと、アレックスに取り入る。
「彼は治ったわ」
「この青い地球をズタズタにするんだ」
内務大臣から贈られた極楽鳥花が飾られ、
大きなスピーカーから流れる大音響の音楽は、
もちろんベートーヴェンの第九!
彼の邪悪な笑顔とともに、圧倒的な力で、
音楽の渦に飲み込まれていきます。
暗転。
白い幕から、スポットライトを浴び、アレックスひとり登場。
夢のように幻のように美しい彼。
拍手に包まれながら、左手を舞うように上げ、
深く膝を曲げ腰を折る、美しいお辞儀。
細くて長い人差し指が唇に当てられ、会場は静まる。
「シーンは続く」
彼の一声で、また幕が開く。
オープニングのシーン、ふたたび。
4人のドルーグ。小栗アレックスの他には、
武田さん、橋本さん、山内さん。とっても楽しそう(笑)。
でもアレックスは下手の端の椅子に座って、物憂げ。
何故かアレックスが一番年上のようで(笑)、
遊ぼうとするのだが、断るアレックス。しぶしぶひきさがる三人。
この後、上手で、帽子をとり、ネクタイをし、上着を着るアレックス。
すぐあの18歳のアレックスが登場するのではなく、
着替えるところを見せることによって、
時間経過を表しているのかなと思いました。
またミルク・バーのシーン。黒髪のアレックス、軽やかに登場。
ソファで彼女を待っている。彼女マーティー、彼の隣に座る。
マーティー「大事な話しがあるんでしょ?」
アレックス「ここからが本題と言っても過言ではない」
マーティー「誰に話しかけてるの?」
はい、ここからが本題なんですね(笑)。
アレックス「あのことは考えてくれた?」
マーティー「まだ早すぎるわ。だって、私が17で、あなたが18でしょう?」
アレックス「・・・」
マーティー「ねぇ、聞いてる?あなた18でしょう?」
アレックス「あ、あ〜そうだ18だよ。この際年齢なんて関係ない、 
       ついでに顔のこともね」
マーティー「顔のことは誰も何も言ってない」
どう見ても、17歳に見えない彼女(笑)、アレックスが言葉に詰まる、
その間がいつも可笑しいです。顔の話も笑いがおきます(笑)。
甘いまなざしのアレックス、昔の面影は微塵もなく、
そして彼はスタンドマイクを持ちながら、楽しげに歌い始める。
スタンドマイクを回す、踊る、指をさす、まるでロックスターのよう。
時計じかけのオレンジになるな」「よく見てそして選択しろ」
「幼きゆえの幼き暴力」「選択することは難しいけれど」
「それがそれこそが、自由の醍醐味」
皆も揃って、大合唱。お祭り騒ぎ、狂喜乱舞。
えー!そうなんだ〜と思いながら、
皆さんのパワーと格好良さに負けちゃいます(笑)。
その熱狂の中、アレックスはひとり前に出て、口上のように。
「ディアー・ブラザーズ、and シスターズ」
「この登場人物とも二度目のお別れだ」
「皆さんの可愛いアレックスは改めてさよならを言うよ」
「一緒に旅に出て、いろんな体験をした。悪いこともね」
「全ては観る者が判断すればいい。選択は自由だ」
音楽だけが鳴り続け、皆はそのまま、やがて下手上手へはけていく。
舞台を包み込むように拍手。
そして華やかなカーテンコールへ。


大千秋楽のときは、上手だったので、その前をはけていくアレックスを見て、
役としてのこれが最後のアレックスの姿だわって、
しっかり胸に留めました。
そして終ると、毎回、熱に浮かされたようになってしまう(笑)。
まずべテランの方々が精一杯力を出し、かつ楽しく遊んでいること。
カンパニー誰ひとり力を抜かない清々しさ。
そこに板の上に立つとこれだけの光を放つの?と、
驚くべき小栗くんの求心力の強さ、そして息を呑む美しさ。
心掴まれる音の洪水に溺れながら、一流のプロとはこういうものという、
本気の仕事を観た感動。
舞台って凄い!また新しい扉が開いた、麻薬のような舞台。
自由とは?権力とは?悪、善、暴力、愛、子供?大人?
あなたの中身は時計じかけではないの?
ひとつの答えしか出さない、ひとつの方向しか見られない、
お堅いネジが巻かれている、機械は入っていないの?
選択の自由は目の前に、皮肉も余裕で受け止めて、
さあ、舞うようにあげられた指先の、
エレガントで美しいお辞儀をする彼のもとに、
彼がいざなってくれるなら、彼の指し示す方向へ、
それが私が選んだ答え、喜んでついていきましょう。
魅力的な見たこともない世界へ、どうぞ連れて行ってください。


とにもかくにもスタンドマイクで歌う姿は、もう最初で最後かなと思いますよね。
大サービスの小栗くんでした(笑)。
来年もまたできたらとびっきり美しい小栗くんで、
見たこともない世界に連れて行ってほしいです。