風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

八重の桜 第5回

雨が降っています。
マリさんから教えていただきました(ありがとうございます)。
「シアターガイド」に「あかいくらやみ」のポスター?チラシ?が載っていたそうで、
私も見てきました。とても怖かったです。
この雰囲気の舞台だとすると、相当覚悟が必要のような、
観劇後、夜道を帰れるかなあという感じです(笑)。でも楽しみですね。


そして昨日、「八重の桜」第5回を観ました。
昨日は家族と一緒に観ていたので、我慢していたのですが、
今日もう一度観たときは、気兼ねせず泣きながら観ました(笑)。
とても良い回でしたよね!
小栗くんは本当に、渾身の演技で素晴らしく、
こういう短い登場時間でも、魅入ってしまいました。
そしてまわりの皆がその松陰さんの思いを受け止め、
心に留めて、前進していこうとする回だったので、
登場シーンは少なくても、ずっと松陰さんの陰があるというか、
松陰さんに影響された登場人物と同じく、私の心にも、
ずっと松陰さんが息づいていくようなそんな回でした。


まず最初は、うらさんのお話でもう泣けてしまって、
その後の八重さんとの豆のやり取りもよかったですよね。
とても優しい空気が流れて、八重さんとうらさんがより心が通じ合えて、
山本家は皆、明るく温かく志高い人たちで、
こういうささやかな幸せの隣で、
時代がうねるように大きく変わっていこうとするその対比も、
よかったです。
そして紋付き袴姿の松陰さんが現れます。
「僕はそのご一党とはかかわりございません」
端正な横顔ときりっとした瞳の純粋さに思わずはっとしてしまって、
小栗くんはこういう一途というか、真っ直ぐな役は、
まさに、混じりけのない透明さ、純粋さで迫ってくるので、
本当に心掴まれてしまいます。
凛として知的で堂々して、着物も着なれた感じで凄く似合っていて、
皆が一目を置く松陰さんという感じが伝わってきました。
この姿、とても素敵でしたね。声も凄くいい声でした。
覚馬さんのところへ、勝さんから、
手紙と松陰さんの辞世の句が届きます。
「身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂
牢屋の中、白装束に着替える松陰さんの、
逆光に透き通る白い着物が美しくも悲しかった。
「こたびの大事、私一人なりとも死んでみせれば、
 後の残った者たちがきっと奮い立つ。
 この国を守るために!
 天朝も幕府も藩も要らん!
 ただ身ひとつで立ち上がればよい!
 立ちあがれ!」
「至誠にして動かざるものは 未だこれあらざるなり」
鬼気迫るパワーに圧倒されました。
その後の礼と覚悟を決めて歩いていく姿は、
凛として清々しくさえあって、それはその後、
後に続くものが出てくるものと信じていたからですよね。
そしてその手紙を読んだ覚馬さんの思いが語られます。
「あの人はばか正直にお白州で訴えたんだ。
 御公儀のやり方は間違ってる。このままじゃいけねぇと、
 そのための命がけだ。精一杯の誠だ。
 無謀であろうと愚かであろうと、
 ひとりの人間にそれ以上何ができる」
「至誠にして動かざるものは 未だこれあらざるなり」
ここで、もうボロ泣きでした。
松陰さんの思いがしっかり伝わっていく様子が、
なんだか嬉しくて、凄く心に響きました。
「君、会津の、おう、おう、おう、おう」
「しかし会津の酒は上手いのう」
明るく理想にただただ向かっていったあの頃の松陰さん、
切なくて胸を打たれます。
太陽のように皆を照らす光を持ち、惹きこむ力が強大だった松陰さんは、
自ら光を閉ざすことで、光は分散され、まき散らされ、
それぞれの心に志に火をつけたのだと思います。
愛嬌があり知的で凛として、何よりパワフルで、
文字通り魂で生きた寅次郎さんでした。
小栗くん演じる寅次郎、吉田松陰を観ることができて、本当に嬉しかったです。