昨日の夜は雷雨でしたが、すっかり晴れました。
「鎌倉殿の13人」第20回を観ました。
涙が止まりませんでした。どうして兄と弟はこうなってしまったのか。
しかし登場人物全員に血が通っていて、心の内のその思いも矛盾も、
皆それぞれが抱えていて、その説得力が胸を打ちました。
義時、義経、弁慶、秀衡、泰衡、静、里、そして頼朝。
まず里の告白が衝撃的でした。
でもこれがないと、史実として義経は自害するときに、
妻と娘を殺しているので、史実通りにならないんですよね。
よく今までのドラマで描かれていた清廉潔白な義経なら、里を道連れにするときに、
きっと里もお供いたします、のような、従順な里で大丈夫だったと思うのですが、
この「鎌倉殿の13人」の義経はそうはいかなかったと思うのです。
そうなった場合に、里は実は京で義経が刺客に襲われたとき、手引きをしていたこと。
それを義経は兄上の策略だと思ったこと。
兄と弟の決定的な亀裂の原因が、里の静への嫉妬だったこと。
この衝撃的事実を里から告白されて、
思わず里を殺めてしまった(これで史実どおり)。
この「鎌倉殿の13人」での義経なら、こうするだろうという説得力がありました。
三谷さん凄いです。
そして菅田義経はとても魅力的でしたね。
自由奔放で天才肌で戦いにおいては計り知れない力を持ち、
ただ戦いを除けば世渡り下手、直情的で周りが見えない、
しかし真っ直ぐで無邪気で愛すべき義経でした。
最後に義時へ鎌倉の攻め方を嬉々として話している義経。
このシーンの音楽がとても優しくて穏やかで余計に切なかったです。
義経「どうだ」
義時「素晴らしい。ただ」
義経「どうぞ」
義時「船団が鎌倉の海に入るとき、どうしても三浦の岬から丸見えになります。
これはどうされますか」
義経「三浦を味方につけておく。親父ではなく息子の方だ。
あいつは損得のわかる奴だからな」
義時「恐れ入りました」
最後の最後で空っぽの義経ではなく、戦いを前にした生き生きとした義経に、
戻ったようでした。
そして深々とお辞儀をする義時。とても美しいお辞儀でした。
義経への最後の別れと最大限の敬意を表したお辞儀だったと思います。
その戦い方を梶原景時に見せるように託す義経でしたが、義経と景時の関係も、
戦友として認め合う仲という描き方でよかったです。
最後の頼朝の慟哭はあまりにも悲しくて見ていられませんでした。
どうしてこうなってしまったのか。運命といえばあまりにも残酷な展開で、
史実と分かっていながらも、
頼朝と義経、会って話して笑ってほしかったなあと思いました。
会えばきっと分かり合えましたよね。
義時は奥州から帰ってきて、一息ついて、金剛ちゃんを抱きしめたところ、
何も知らない幼い金剛ちゃんがお土産をせがんできて、
その知らなさがきっと義時をほっとさせているんだろうなあと思いました。
すでに義時は瞳に光が差さない場面が多くなってきて、
ダークサイドに落ちかけているというか、落ちているような、
愛すべき家族にはその汚れた手は見せず、
頼朝のように孤独になっていくのでしょうか。
予告の八重さんがちょっと不安なのですが、
八重さん、無事でいてくださいね。ずっと義時を支えてくださいね。
来週も心して観たいと思います。