風色の椅子 第二楽章

小栗旬さんのファンブログ やや耽美主義

間違いの喜劇

今日は雷と雨も激しく降る時間がありました。

昨日、BS松竹東急で「間違いの喜劇」が放送されました。

2006年の小栗くんの主演舞台、シェイクスピア作「間違いの喜劇」です。

もう何度も何度も観た作品なのですが、放送されるとなると、

ついつい観てしまい、録画もしてしまいました(笑)。

私は小栗くんの舞台は「お気に召すまま」初演からほとんど観ているのですが、

この「間違いの喜劇」が初めて2回観た作品で、初めて大千秋楽を観た作品です。

同じ舞台を数回観るという感覚は始めはわからなかったのですが、

観てみると、やっぱり舞台は生き物というか、全然違う場面もあって、

とても楽しめます。しかも大千秋楽となると特別感があります。

だからこの「間違いの喜劇」を皮切りに、舞台は数回観る、

大千秋楽もできるだけ観たいという感じで、ズブズブ嵌っていきました(笑)。

でも「間違いの喜劇」大千秋楽、小栗くん、舞台中にちょっと怪我をしてしまって、

今でも左目の上のあたり、傷がわかるときがありますが、

その場で見ていたときは、本当にドキドキしました。

しかし舞台の雰囲気が壊れないようにユーモアを交えて、演者さんたちがそれぞれ、

小栗アンティフォラスを助けていて、ハンカチを渡したり、

他の役者さんが通路を通るときは、私たち観客に向かって、

「大丈夫だからね」と声をかけてくださったり、本当に座組がひとつになっていて、

素敵なチームだなあとその温かさに優しさに胸が熱くなった記憶があります。

それでは2006年3月12日、愛知勤労会館での、

「間違いの喜劇」大千秋楽の感想を、再掲したいと思います。

2006年3月12日 13日のブログより。

 

間違いの喜劇      シェイクスピア

            蜷川幸雄演出

            主演アンティフォラス(兄・弟 二役)小栗旬

 

まず、2回観るってこういうことなんだ〜って思いました(笑)。
いかに1回目のときは、小栗くんの美しさに目がくらんでいたか。
まあ、背も高いし、あの少女漫画に出てくるような、スタイルの良さ。
手足が長くて、首から肩の線とか、背中、腰から足へ、
骨格のバランスがいいんですよね。
それで、細身で、肌も抜けるように白くて、顔も小さくて、輪郭も良くて、
部品の配置がいいので(笑)、遠くから見ても、ハンサムさんに見えます。
そんな美しさに惑わされず?2回目は物語がくっきり見えました。
こうやって観てみると、アンティフォラスは難しい役ですよね。
笑いもとらなきゃいけないし、
重要な台詞は、シェイクスピアはアンティフォラスに言わせてます。
「この広い世間では、俺はひとしずくの水〜」
「ここは地上か、天国か、それとも地獄?〜」
こはちゃんと聞かせてくれました。目の力も絶大で、
皆さんが言われてたように、どんどん進化して上手くなってますよね。
メイキングで、格闘していて、蜷川さんに“俺の勝ち”と言われた台詞も、
「人の目をあざむく抜け目のないやから、心をまどわす邪まな妖術師〜」
走り回ったあと、しっかり畳み掛けるように言っていて、
“小栗くんの勝ち”(笑)だと思いました。
本当にその若い力の凄さを思い知らされましたね。
それからドローミオとのあまりにも息のぴったりさにも、感動しました。
ふたりがとってもチャーミングでした!
漫才のような二人の掛け合いも、ちゃんと身分の差はあるんですが、
信頼もある感じで、仲良しで、
特に弟同士のコンビのとき、この土地の人たちが剣を怖がると勘違いし、
ふたりで剣を見せながら、後ずさりする場面。
剣をふりかざすその角度まで、一緒で、大笑いしました。
今回、わりとセンターよりだったので、前回見られなかった舞台装置も、
正面から、よく見ることが出来て、あの荘厳な扉が開いたとき、
遠近法のように奥に、絵が描いてあるんですが、
その正面にアンティフォラスが立つと、
本当に1枚の絵のようで、ため息がでるほど、素敵でした。
今回のお芝居はどこを切り取っても、絵になるような、
美術も衣装も華やかな美しさでしたよね。
おどぎ話の面々が、ワイワイと大騒ぎで、
その空間を時間を、生き生きと走りまわっていて、
見ている私たちも、その空間に引っ張り込まれ、とても楽しかったです。
あの美人姉妹もそれぞれいい味わいで、
吉田さんもさすがの貫禄で、鶴見さんも慈愛に満ちて、
最後、家族が再会して、
アンティフォラスが強く抱きしめられているのを見たら、涙が出てきてしまいました。
シェイクスピア、面白いです。単純な物語のように見えて、
どんどん絡まっていく糸のように、笑いは加速していくし、
最後は本当に大切なものが見えてくるし、
それとともにこの空間を作った蜷川さん、キャスト、スタッフが素晴らしいんですよね。
関わるすべての皆さんが自分のポジションを高いレベルで、こなしていて、
いいお芝居だったなあって思いました。
最後のダンスも赤いリボンをくわえたところは、妖艶に、ゆっくりと、
それからはオルゴールのお人形のように、可愛らしく、回ったり、お辞儀をしたり、
小栗くん、ダンスも上手くなってました。
あのイギリス貴族が踊るような優雅なダンスがよく似合ってました。
前に右手をもってきて、左手は後ろに、足を揃えてのお辞儀の仕方もすごく好きです。
蜷川さんが言われてた、持って生まれた外観や声の良さ、品格が、
充分に活かされた役だと思いました。
それから特に2回目は小栗くん、駆け抜けるのが(走り方も格好いい!)
速いなあって思っていたら、勤労会館の通路が階段ではなくて、
斜めの床なんですね。マントを翻し、その速いこと、速いこと。
運動能力も充分活かされた(高橋さんもです)若さ、いっぱいの役でした。
とても輝いていて、華麗で、おちゃめな、アンティフォラスでした。
何より小栗くん自身がすごく楽しそうに演じていて、楽しさが伝わってきましたね。
それからアンティフォラスとエイドリアーナのキスも好きなんですが、
ドローミオがアンティフォラスの手の甲にキスするシーンがあって、
驚くアンティフォラスがいつも可愛いなあって思います(笑)。

 

カーテンコール

 

小栗くんは相変わらす、
白い大理石の彫像のような美しさでしたが、
やっぱりアンティフォラスなんだって思いました。
ますますドローミオとの息もぴったりで、本当に二人がいいコンビでした。
前に見たときよりもコメディ色が強くなっていたように思えます。
カーテンコールは、1階も2階もスタンディングオベーションの中、
パンッ!という音とともに、テープと紙ふぶきが降り注いできて、
皆さん、それにちょっと驚きながら、揃ってお辞儀。
そして皆で顔を見合わせながら、相談事?と思っていると、
小栗くんがそれは疾風のような速さで、通路を駆け抜けたり、
舞台の袖に行ったり来たりしていて、蜷川さんを探していたんですね。
客席からも「蜷川コール」が出始めた頃、蜷川さんが舞台の袖から登場。
小栗くんと高橋さんの腕を持ち上げて、バンザイをするように、
お辞儀、お辞儀。鳴り止まない拍手、拍手、拍手・・・。
高橋さんも吉田さんも内田さんも、みんないい笑顔で、
そして蜷川さんは小栗くんの肩を少し抱くようにして、舞台奥へ去っていきました。
小栗くんは両手を上げて、晴れやかな笑顔で、
でも「さようなら」というような笑顔にも思えて、
ああ、もうこれで、アンティフォラスに生では会えないんだなあって、
やっぱり寂しかったです。
記念にテープを近くのお客さんと分け合って、持って帰ってきました(笑)。
走り回って、駆け抜けて、怒鳴って、笑い合って、ドレスをたくし上げて、
生き生きと、軽やかに、ドタバタと、転がって、
華やかに、綺麗に、可愛らしく、優雅なダンスと、再会の感動と、
とにかく大盛況、大評判で全公演を終わったこと、
本当に本当によかったなあって思いました。